問題 35★★★

ある従業員が、勤務先と所属部署、上司の氏名、出張の予定を、 誰でも閲覧できる設定で個人のSNSに投稿している。 攻撃者がこの投稿だけを基に行えるSNSの悪用として、最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア公開された投稿をたどり、従業員がSNSで送受信した非公開のメッセージを傍受する。

    誤り。これは盗聴の説明です。SNSから情報を得る点は同じなので混同しますが、 公開された投稿を読むことと、通信の途中でデータを読み取ることは別の行為です。 公開情報を見ただけでは、非公開のやり取りまでは読めません。

  2. イ公開された情報を組み合わせ、上司や取引先を装った本物らしい連絡を従業員に送る。

    正解。部署や上司の名前、出張の予定が分かれば、 「出張中の上司からの急ぎの依頼」のような、疑いにくい連絡を作れます。 SNSの公開情報は、人をだますための材料として悪用されます。

  3. ウ公開された所属と氏名を入力し、勤務先の社内システムに本人としてログインする。

    誤り。これは不正アクセスの説明です。本人の情報を使う点で紛らわしいですが、 所属や氏名は本人であることを確かめる認証情報ではありません。 ログインにはIDとパスワードなどが別に必要で、投稿だけでは入れません。

  4. エ公開された投稿の内容を、従業員本人のアカウントから別の文面に書き換える。

    誤り。これは改ざんの説明です。投稿が悪用される点は同じですが、 書き換えるには本人のアカウントを乗っ取る必要があります。 投稿は読めても、書き換える権限までは手に入りません。

理解を深めるために

断片を集めると、だますための台本になる

勤務先、部署、上司の名前、出張の予定。一つひとつは秘密というほどの情報では ありません。しかし組み合わせると、「部長は今週出張で不在」「部下の名前は誰」 という、社内の人しか知らないはずの事情が再現できます。

SNSの悪用で最も多いのは、この公開情報を、人をだますための材料にすることです。 攻撃者は、技術を使って侵入する前に、まずSNSで下調べをします。

公開情報で「できること」と「できないこと」

公開された投稿を読むだけでは、システムに入ることも、 通信をのぞくことも、投稿を書き換えることもできません。 できるのは、相手に信じてもらえる話を組み立てることです。

  • 上司や取引先を装い、実在の部署名や予定に触れた連絡を送る
  • 「出張中で電話に出られない」など、本人に確認しにくい状況を口実にする
  • 本物らしさを高めて、送金や認証情報の入力、添付ファイルを開く操作へ誘導する

つまり、SNSの公開情報は、なりすましやソーシャルエンジニアリングの 成功率を上げるために使われます。情報そのものが盗まれるのではなく、 信用を得るための足がかりにされる点が、この脅威の特徴です。

投稿を基にできるかどうか

行為 脅威の種類 公開された投稿だけでできるか
関係者を装った本物らしい連絡を送る SNSの悪用 できる
非公開のメッセージを傍受する 盗聴 できない(通信経路への介入が必要)
社内システムにログインする 不正アクセス できない(認証情報が必要)
本人の投稿を書き換える 改ざん できない(アカウントの乗っ取りが必要)

試験では、公開情報から直接できることと、別の手段を重ねないとできないことを 切り分けます。対策は、公開範囲を絞ることと、業務に関わる情報を投稿しないことです。

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