問題 4★★☆

前例のない新サービスのリスクアセスメントで、不正利用が起こる可能性を社外の専門家5名に 見積もってもらう。声の大きい人に意見が引きずられないようにしつつ、 見積りを一つにまとめたい。用いる手法として最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア匿名で回答を集め、全体の集計結果を示して再回答を求めることを繰り返す。

    正解。デルファイ法です。誰の意見かを伏せたまま集計結果を戻し、各自が考え直す ことを繰り返すので、発言力の差に左右されずに見積りを収束させられます。

  2. イ5名を一堂に集め、批判をせずに自由に意見を出し合ってもらう。

    誤り。ブレーンストーミングです。批判を控えて数多くの案を出す、発想を広げる ための手法です。顔を合わせて話すので声の大きい人の影響を受けやすく、 意見を一つの見積りに絞り込む仕組みも持っていません。

  3. ウ5名の意見をカードに書き出し、内容の近いものどうしをまとめて見出しを付ける。

    誤り。親和図法(KJ法)で、新QC七つ道具の一つです。ばらばらの意見を、 似たもの同士でまとめて構造をつかむための手法です。数値の見積りを 専門家の間ですり合わせ、一つに収束させる手順は含みません。

  4. エ不正利用の要因を大骨・小骨に分けて書き出し、魚の骨の形に整理する。

    誤り。特性要因図で、QC七つ道具の一つです。結果に影響する要因を洗い出して 整理するための図で、どの程度起こりそうかを専門家の間で見積もり、 合意に近づける手法ではありません。

理解を深めるために

顔を合わせずに、専門家の見積りを収束させる

前例のないリスクは、過去の発生件数というデータがありません。そこで専門家の知見に頼りますが、 会議で話し合うと、役職の高い人や声の大きい人の意見に全員が寄っていきがちです。 デルファイ法は、この影響を避けながら意見をまとめるための手法です。

デルファイ法の進め方

  1. 専門家に、互いの名前を伏せたまま同じ質問に回答してもらう
  2. 回答を集計し、分布や中央値、少数意見の理由などを全員に戻す
  3. 各自が集計結果を見て考え直し、再び回答する
  4. 2〜3を繰り返し、回答のばらつきが小さくなったところで結果とする

匿名なので発言力の差が効きにくく、集計結果を見て考え直す過程で、根拠の弱い極端な 見積りが修正されていきます。将来の予測や、データの乏しい発生可能性の見積りのように、 正解を確かめられない問いに向いています。

混同しやすいものとの違い

手法 目的 進め方の特徴
デルファイ法 専門家の意見を一つに収束させる 匿名の回答と集計結果の戻しを繰り返す
ブレーンストーミング 発想を広げ、案を数多く出す 対面で批判をせずに自由に発言する
親和図法(KJ法) ばらばらの意見の構造をつかむ 近い内容をまとめて見出しを付ける(新QC七つ道具)
特性要因図 結果に影響する要因を整理する 要因を魚の骨の形に枝分けする(QC七つ道具)

「広げる」のか「整理する」のか「一つにまとめる」のかで手法を選びます。 専門家の見積りを、発言力の影響を避けて収束させたいならデルファイ法です。

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