正解:ア
各選択肢の解説
ア匿名で回答を集め、全体の集計結果を示して再回答を求めることを繰り返す。
正解。デルファイ法です。誰の意見かを伏せたまま集計結果を戻し、各自が考え直す ことを繰り返すので、発言力の差に左右されずに見積りを収束させられます。
イ5名を一堂に集め、批判をせずに自由に意見を出し合ってもらう。
誤り。ブレーンストーミングです。批判を控えて数多くの案を出す、発想を広げる ための手法です。顔を合わせて話すので声の大きい人の影響を受けやすく、 意見を一つの見積りに絞り込む仕組みも持っていません。
ウ5名の意見をカードに書き出し、内容の近いものどうしをまとめて見出しを付ける。
誤り。親和図法(KJ法)で、新QC七つ道具の一つです。ばらばらの意見を、 似たもの同士でまとめて構造をつかむための手法です。数値の見積りを 専門家の間ですり合わせ、一つに収束させる手順は含みません。
エ不正利用の要因を大骨・小骨に分けて書き出し、魚の骨の形に整理する。
誤り。特性要因図で、QC七つ道具の一つです。結果に影響する要因を洗い出して 整理するための図で、どの程度起こりそうかを専門家の間で見積もり、 合意に近づける手法ではありません。
理解を深めるために
顔を合わせずに、専門家の見積りを収束させる
前例のないリスクは、過去の発生件数というデータがありません。そこで専門家の知見に頼りますが、 会議で話し合うと、役職の高い人や声の大きい人の意見に全員が寄っていきがちです。 デルファイ法は、この影響を避けながら意見をまとめるための手法です。
デルファイ法の進め方
- 専門家に、互いの名前を伏せたまま同じ質問に回答してもらう
- 回答を集計し、分布や中央値、少数意見の理由などを全員に戻す
- 各自が集計結果を見て考え直し、再び回答する
- 2〜3を繰り返し、回答のばらつきが小さくなったところで結果とする
匿名なので発言力の差が効きにくく、集計結果を見て考え直す過程で、根拠の弱い極端な 見積りが修正されていきます。将来の予測や、データの乏しい発生可能性の見積りのように、 正解を確かめられない問いに向いています。
混同しやすいものとの違い
| 手法 | 目的 | 進め方の特徴 |
|---|---|---|
| デルファイ法 | 専門家の意見を一つに収束させる | 匿名の回答と集計結果の戻しを繰り返す |
| ブレーンストーミング | 発想を広げ、案を数多く出す | 対面で批判をせずに自由に発言する |
| 親和図法(KJ法) | ばらばらの意見の構造をつかむ | 近い内容をまとめて見出しを付ける(新QC七つ道具) |
| 特性要因図 | 結果に影響する要因を整理する | 要因を魚の骨の形に枝分けする(QC七つ道具) |
「広げる」のか「整理する」のか「一つにまとめる」のかで手法を選びます。 専門家の見積りを、発言力の影響を避けて収束させたいならデルファイ法です。