問題 6★★★

情報セキュリティ担当者が、UTMの保守契約を3年分まとめて結び、期首にまとまった金額を一括で支払った。 その期の決算日時点で、まだ保守を受けていない残り2年分の保守料は、 貸借対照表でどう扱われるか。最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア前払いしたものなので、2年分すべてを流動資産に計上する。

    誤り。「前払い=短期の資産」と考えると選びたくなりますが、流動と固定を分けるのは 決算日の翌日から1年以内に費用になるかどうかです。2年目の分は1年を超えてから 費用になるので、流動資産には入りません。

  2. イ効果が将来に及ぶので、2年分すべてを繰延資産に計上する。

    誤り。繰延資産は、創立費や開業費のように、サービスの提供をすでに受け終わった支出を 繰り延べるものです。保守料の前払いは、これから保守を受ける権利への支払いなので、 前払費用として扱い、繰延資産にはなりません。

  3. ウ翌年度分を流動資産に、残りの1年分を固定資産に計上する。

    正解。未経過の保守料は前払費用という資産です。決算日の翌日から1年以内に費用になる 翌年度分は流動資産、それより先の分は長期前払費用として固定資産に分けて計上します。

  4. エ支払いは済んでいるので、2年分も支払った期の費用にする。

    誤り。費用は、支払った時ではなく、サービスを受けた期間に割り当てます。 まとまった金額の前払いを全額その期の費用にすると、その期の利益が小さく、 翌期以降の利益が大きく見えてしまいます。

理解を深めるために

前払いでも、1年を超える分は固定資産

複数年分の保守料をまとめて払うと、お金は一度に出ていきますが、保守を受けるのはこれからです。 まだ受けていない分は「将来保守を受ける権利」として資産に残ります(前払費用)。 その資産を流動と固定に分ける物差しは、決算日の翌日から1年以内に費用になるかどうかです。 期首に3年分を払った場合、最初の決算日に残っているのは2年分で、そのうち翌年度の1年分は 流動資産、さらにその先の1年分は固定資産(長期前払費用)になります。

なぜ分けて計上するのか

  • 費用は、支払った時ではなく、サービスを受けた期間に割り当てる
  • まだ受けていないサービスの対価は、前払費用として資産に計上しておく
  • 貸借対照表は、資産を「1年以内に現金化・費用化されるか」で流動と固定に分ける。前払いかどうかは関係ない

セキュリティ製品の保守やライセンスは、複数年契約で割引を受けることがよくあります。 予算を管理する担当者は、支払額と各年度の費用が一致しないことを知っておくと、 経理部門との会話で戸惑わずに済みます。

混同しやすいものとの違い

扱い 中身 今回当てはまるか
流動資産(前払費用) 1年以内に費用になる前払い分 翌年度の1年分
固定資産(長期前払費用) 1年を超えてから費用になる前払い分 さらに先の1年分
繰延資産 提供を受け終わった支出のうち、基準が定める項目を繰り延べたもの 当てはまらない
支払った期の費用 その期にサービスを受けた分 1年目の分だけ

「前払いだから流動」「長期契約だから固定」と契約の形で決めず、 決算日から数えていつ費用になるかで一つずつ振り分けるのがポイントです。

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