問題 9★★☆

クラウドサービスの委託先候補を評価する際、経営の悪化でサービスが突然終了するリスクを確認したい。 候補企業が1年以内に支払期限の来る債務を支払えるかを財務諸表で確かめるとき、 比べるものとして最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア損益計算書の売上高と営業利益

    誤り。売上高と営業利益を比べると、本業でどれだけ稼げているかという収益性が分かります。 利益が出ていても手元の資金が足りない会社はあるので、支払能力はこの比較では確かめられません。

  2. イ貸借対照表の流動資産と流動負債

    正解。1年以内に現金になる流動資産で、1年以内に支払う流動負債を賄えるかを見れば、 短期の支払能力が分かります。この比率が流動比率です。

  3. ウ貸借対照表の固定資産と純資産

    誤り。固定資産と純資産を比べると、長く使う設備などを返済不要の元手で賄えているかという、 長期の資金の安定性が分かります。同じ貸借対照表でも、1年以内の支払いを見る組合せではありません。

  4. エキャッシュフロー計算書の投資活動の収支

    誤り。投資活動の収支は、設備の購入や売却などで資金がどれだけ出入りしたかを示し、 投資の姿勢が分かります。投資で資金が出ていくこと自体は悪化の印ではなく、債務を払えるかは分かりません。

理解を深めるために

1年以内に払う分を、1年以内に入る分で賄えるか

クラウドサービスを委託すると、自社の情報やシステムが委託先の事業の継続に依存します。 委託先の経営が悪化してサービスが突然終われば、データの引き上げも間に合わないかもしれません。 短期的に倒れないかを財務諸表で確かめるなら、貸借対照表の流動資産と流動負債を比べます。

なぜこの2つを比べるのか

  • 流動負債は、決算日の翌日から1年以内に支払う義務(買掛金、短期の借入金など)
  • 流動資産は、1年以内に現金になる資産(現金・預金、売掛金など)
  • 流動資産が流動負債を十分に上回っていれば、当面の支払いに困りにくい。この比率が流動比率

委託先の評価では、財務状況のほかに、セキュリティ対策や認証の取得状況、契約終了時のデータの 返却方法なども確認します。財務諸表は、そのうちの「事業を続けられるか」を見る材料です。

混同しやすいものとの違い

比べるもの 分かること
流動資産と流動負債(貸借対照表) 1年以内の支払能力
売上高と営業利益(損益計算書) 本業の収益性
固定資産と純資産(貸借対照表) 長期の資金の安定性
投資活動の収支(キャッシュフロー計算書) 設備などへの投資の姿勢

「1年以内に支払えるか」と期間が示されたら、貸借対照表の「流動」の付く区分どうしを比べる、 と覚えておくと選べます。

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