正解:ウ
各選択肢の解説
ア全員のデータから氏名と会員番号を取り除き、居住地はそのまま渡す。
誤り。氏名などの識別子を消すのは加工の出発点ですが、それだけでは足りません。 この場面で本人を推測させているのは海外の都市名という珍しい値で、それが残る限り おそれは消えません。識別子とは別に、特異な値への手当てが要ります。
イ居住地の項目を、全員のデータから取り除く項目削除を行う。
誤り。項目削除は、属性(表の列)をまるごと全件から消す手法です。珍しい値も一緒に 消えますが、居住地を分析に残すという条件を満たしません。1名の値のために 全員分の列を失うことになります。
ウその1名の居住地の値だけを欠損にするセル削除を行う。
正解。セル削除は、特定の個人の特定の項目(表の1マス)だけを消す手法です。 居住地の項目もその人のほかの回答も残したまま、本人を推測させる値だけを取り除けます。
エその1名の回答を、すべての項目ごと除くレコード削除を行う。
誤り。レコード削除は、特定の個人の行を全項目まとめて消す手法です。推測される おそれは無くなりますが、その1名のほかの回答を分析に残すという条件を満たしません。
理解を深めるために
表の「1マス」だけを消す
加工の手法は、データを表として見ると整理しやすくなります。行が1人分の回答、列が 居住地や満足度などの項目です。この場面で困っているのは、ある1人の居住地という 1マスの値だけです。そこで、そのマスだけを空欄(欠損)にするのがセル削除です。 列も行も残るので、居住地の傾向も、その人のほかの回答も分析に使えます。
「何が本人を推測させているか」から手法を選ぶ
氏名や会員番号を消しても、珍しい値が残っていれば「海外に住んでいる会員はあの人だけ」と 推測できてしまいます。個人情報保護委員会のガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)は、 匿名加工の手法として、記述を削除するもの(項目削除・レコード削除・セル削除)と、 特に大きい・小さい数値をまとめるもの(トップ(ボトム)コーディング)などを整理しています。
- 列ごと消す: 項目削除(その項目自体が要らないとき)
- 行ごと消す: レコード削除(その人のデータ全体が特異なとき)
- 1マスだけ消す: セル削除(特定の人の特定の値だけが問題のとき)
消す範囲が広いほど安全側に寄りますが、分析に使える情報は減ります。 「何を残したいか」という条件が、範囲を決める決め手になります。
混同しやすいものとの違い
| 加工 | 消す範囲 | この場面の条件 |
|---|---|---|
| セル削除 | 特定の人の特定の項目だけ | 項目もほかの回答も残る |
| 項目削除 | 項目(列)を全件から | 居住地が分析から無くなる |
| レコード削除 | 特定の人の全項目(行) | その人のほかの回答が無くなる |
| 識別子だけの削除 | 氏名・会員番号 | 珍しい値が残り推測できる |
試験では、表のどこに手を入れるかを「列・行・マス」で思い浮かべ、問題文が 「残したい」としているものを消してしまう選択肢を外すと判断しやすくなります。