問題 14★★★

情報セキュリティ担当者が、社内調査で分かった従業員の行為を整理している。 いずれも本人や管理者の承諾はない。不正アクセス禁止法の「不正アクセス行為」に当たるものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア自席のPCから社内LANを通じて、他部署のファイルサーバに同僚のIDとパスワードを入力してログインした。

    正解。社内LANもネットワーク(電気通信回線)にあたり、ファイルサーバはID・パスワードで利用を制限しています。 そこへ他人の識別符号を入力して使える状態にしたので、ファイルを見ていなくても不正アクセス行為です。

  2. イネットワークにつながっていない検査装置用のPCで、同僚のパスワードを入力してログオンした。

    誤り。不正アクセス行為は、ネットワークにつながったコンピュータに、ネットワークを通じて入力する行為です。 他人のパスワードを使う点は同じでも、つながっていないPCに直接入力した場合はこの法律の対象外です。 主に社内規程で扱う問題になります。

  3. ウ同僚のパスワードが書かれた付箋を、後でログインに使うつもりでスマートフォンで撮影して保存した。

    誤り。これは識別符号の不正取得(不正保管)にあたる行為で、同じ法律で別に禁止されています。 ただし、まだ入力してログインしていないので、不正アクセス行為そのものではありません。 「手に入れる・持つ」段階と「入る」段階を分けて考えます。

  4. エ私物PCから他社の公開Webサーバにポートスキャンを行い、開いているポートを調べただけで終えた。

    誤り。ポートスキャンは、どのサービスが応答するかを調べる行為で、識別符号の入力も、 制限を免れる指令の入力もしていません。攻撃の下調べとして警戒すべき行為ですが、 利用制限を解いていないので不正アクセス行為にはあたりません。

理解を深めるために

「ネットワーク越しに、鍵を使って扉を開けたか」で決まる

不正アクセス行為は、ネットワークを通じて、他人の鍵(識別符号)を使う、または鍵を使わずに錠をこじ開ける ことで、利用が制限されたコンピュータを使える状態にする行為です。 扉を開けた時点で成立し、中の物に触ったかどうかは問いません。

成立に必要な要素

不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為を次のような要素で定めています。

  • 対象は、ネットワーク(電気通信回線)に接続し、アクセス制御機能で利用を制限しているコンピュータ
  • ネットワークを通じて、他人の識別符号か、制限を免れる情報・指令を入力する
  • その結果、制限されている利用ができる状態になる
  • アクセス管理者自身による場合や、承諾を得ている場合は除く

社内LANも電気通信回線にあたるので、社外からの侵入に限らず、社内の同僚のIDを使ったログインも対象です。 一方、ネットワークにつながっていないPCは対象のコンピュータにあたりません。 付箋の撮影は、不正アクセス行為に使う目的での取得・保管として、別の条文で禁止されています。

混同しやすいものとの違い

行為 扱い
社内LAN経由で他人のIDでログイン 不正アクセス行為
つながっていないPCに他人のパスワードで直接ログオン ネットワークを通じていないので対象外(社内規程の問題)
他人のパスワードを撮影して保存 識別符号の不正取得・不正保管(不正アクセス行為とは別の禁止行為)
公開Webサーバへのポートスキャン 制限を解いていないので不正アクセス行為ではない

場面の問題では「ネットワーク経由か」「制限を解いて使える状態にしたか」の2点を順に確かめます。

前の問題へセキュリティ関連法規の一覧へ戻る