問題 2★★★

部門のメンバーが、SNSで知り合った社外の人物に頼まれ、同僚の社内システムのIDとパスワードを 教えていたことが分かった。相手の使い道は聞いておらず、そのIDでの不審なログインはまだ確認されていない。 このメンバーの行為の評価として最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. アそのIDでのログインが確認されていないので、不正アクセス禁止法の禁止行為には当たらない。

    誤り。ログインという結果が出ることを要件にする誤解です。不正アクセス行為を助長する行為は、 他人のIDとパスワードを渡した時点で成立します。実際に侵入されたかどうかは、 不正アクセス行為そのものが起きたかの問題で、渡した行為の評価とは別です。

  2. イ正当な理由なく他人のIDとパスワードを渡しており、相手の目的を知らなくても禁止行為に当たる。

    正解。業務その他正当な理由がないのに、他人の識別符号をアクセス管理者と利用権者以外の者に 渡すことは、不正アクセス行為を助長する行為として禁止されています。 相手の目的を知らない場合も、罰金刑の対象です。

  3. ウ相手が不正アクセスに使う目的を知っていた場合に限り、助長する行為として禁止の対象になる。

    誤り。目的を知っていたかどうかは、禁止されるかどうかではなく罰則の重さを分ける条件です。 知っていて渡せば拘禁刑もありうる重い罰則、知らずに渡しても罰金刑の対象になります。 「知らなかったから許される」わけではありません。

  4. エIDとパスワードを渡した本人が、それを使って不正アクセス行為をしたものとして扱われる。

    誤り。不正アクセス行為は、他人の識別符号などを入力して、制限されている利用をできる状態にする 行為です。このメンバーは自分では入力しておらず、渡しただけです。入る行為と渡す行為は 別の類型として定められています。

理解を深めるために

「渡しただけ」でも、渡した時点で違反になる

家の合鍵を、持ち主に無断で見知らぬ人に渡したとします。まだ誰も家に入っていなくても、 渡したこと自体が危険です。不正アクセス禁止法も同じ考え方で、他人のIDとパスワードを 勝手に第三者へ渡す行為を、侵入とは別に禁止しています。 これが 「不正アクセス行為を助長する行為」です。

成立の条件と罰則の分かれ方

禁止の内容は、業務その他正当な理由がないのに、他人の識別符号(IDとパスワードなど)を、 そのシステムのアクセス管理者とその識別符号の利用権者(本人)以外の者に提供することです。

  • 相手が実際にログインしたかどうかは、成立に関係しない
  • 相手が不正アクセスに使う目的を知って渡した場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • 目的を知らずに渡した場合も、30万円以下の罰金

一方、保守を委託した事業者に、管理者の判断で業務のために保守用のアカウントを伝えるような 場合は、正当な理由があるので対象外です。担当者としては、メンバーに 「理由を問わず、同僚のID・パスワードを他人に教えない」と周知し、教えてしまったと分かったら すぐにパスワードを変更させることが対応の起点になります。

混同しやすいものとの違い

考え方 実際の扱い
正当な理由なく他人のIDとパスワードを渡す 不正アクセス行為を助長する行為として禁止
ログインされていなければ違反ではない 渡した時点で成立する
目的を知っていた場合だけ違反 目的の認識は罰則の重さを分ける条件
渡した人が不正アクセス行為をしたことになる 入力して入る行為と、渡す行為は別の類型

場面の問題では、「入った」「渡した」のどちらの行為かと、正当な理由があるかを先に確かめます。

前の問題へ次の問題へ