正解:イ
各選択肢の解説
アそのIDでのログインが確認されていないので、不正アクセス禁止法の禁止行為には当たらない。
誤り。ログインという結果が出ることを要件にする誤解です。不正アクセス行為を助長する行為は、 他人のIDとパスワードを渡した時点で成立します。実際に侵入されたかどうかは、 不正アクセス行為そのものが起きたかの問題で、渡した行為の評価とは別です。
イ正当な理由なく他人のIDとパスワードを渡しており、相手の目的を知らなくても禁止行為に当たる。
正解。業務その他正当な理由がないのに、他人の識別符号をアクセス管理者と利用権者以外の者に 渡すことは、不正アクセス行為を助長する行為として禁止されています。 相手の目的を知らない場合も、罰金刑の対象です。
ウ相手が不正アクセスに使う目的を知っていた場合に限り、助長する行為として禁止の対象になる。
誤り。目的を知っていたかどうかは、禁止されるかどうかではなく罰則の重さを分ける条件です。 知っていて渡せば拘禁刑もありうる重い罰則、知らずに渡しても罰金刑の対象になります。 「知らなかったから許される」わけではありません。
エIDとパスワードを渡した本人が、それを使って不正アクセス行為をしたものとして扱われる。
誤り。不正アクセス行為は、他人の識別符号などを入力して、制限されている利用をできる状態にする 行為です。このメンバーは自分では入力しておらず、渡しただけです。入る行為と渡す行為は 別の類型として定められています。
理解を深めるために
「渡しただけ」でも、渡した時点で違反になる
家の合鍵を、持ち主に無断で見知らぬ人に渡したとします。まだ誰も家に入っていなくても、 渡したこと自体が危険です。不正アクセス禁止法も同じ考え方で、他人のIDとパスワードを 勝手に第三者へ渡す行為を、侵入とは別に禁止しています。 これが 「不正アクセス行為を助長する行為」です。
成立の条件と罰則の分かれ方
禁止の内容は、業務その他正当な理由がないのに、他人の識別符号(IDとパスワードなど)を、 そのシステムのアクセス管理者とその識別符号の利用権者(本人)以外の者に提供することです。
- 相手が実際にログインしたかどうかは、成立に関係しない
- 相手が不正アクセスに使う目的を知って渡した場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
- 目的を知らずに渡した場合も、30万円以下の罰金
一方、保守を委託した事業者に、管理者の判断で業務のために保守用のアカウントを伝えるような 場合は、正当な理由があるので対象外です。担当者としては、メンバーに 「理由を問わず、同僚のID・パスワードを他人に教えない」と周知し、教えてしまったと分かったら すぐにパスワードを変更させることが対応の起点になります。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 実際の扱い |
|---|---|
| 正当な理由なく他人のIDとパスワードを渡す | 不正アクセス行為を助長する行為として禁止 |
| ログインされていなければ違反ではない | 渡した時点で成立する |
| 目的を知っていた場合だけ違反 | 目的の認識は罰則の重さを分ける条件 |
| 渡した人が不正アクセス行為をしたことになる | 入力して入る行為と、渡す行為は別の類型 |
場面の問題では、「入った」「渡した」のどちらの行為かと、正当な理由があるかを先に確かめます。