正解:ウ
各選択肢の解説
ア顔画像はIDやパスワードのような文字の符号ではないので識別符号にあたらず、不正アクセス行為にならない。
誤り。識別符号をIDやパスワードに限る誤解です。不正アクセス禁止法の識別符号には、 利用者の身体の影像や音声から、アクセス管理者が定める方法で作る符号も含まれます。 顔認証や声紋認証も、パスワードと同じくアクセス制御機能として保護されます。
イ使った顔写真は本人がSNSで公開していたもので秘密の符号ではないため、不正アクセス行為にならない。
誤り。「みだりに第三者に知らせてはならない」という秘密性は、パスワードのような符号の要件です。 顔の影像から作る符号は、元の写真が公開されているかどうかで識別符号でなくなるわけではありません。 顔はそもそも隠せないので、秘密性を要件にしていません。
ウ顔の影像から作る符号も識別符号にあたり、他人の符号を入力して利用できる状態にしたので不正アクセス行為になる。
正解。顔画像を照合してログインを許す仕組みはアクセス制御機能で、顔から作る符号は識別符号です。 承諾なく他人の識別符号を、インターネットを通じて入力してログインしたので、不正アクセス行為にあたります。
エシステムが顔を照合して本人と判定しログインを許したので、システムが認めた利用として不正アクセス行為にならない。
誤り。「入れたのだから許可された利用だ」という誤解です。アクセス制御機能は、入力された符号を 照合して制限を解除する仕組みそのものです。他人の符号でその照合を通り抜けることが、 まさに不正アクセス行為の典型です。
理解を深めるために
顔認証も「鍵」として守られている
不正アクセス禁止法が守っているのは、利用者を見分けて利用を制限する仕組み、つまり アクセス制御機能です。鍵がパスワードという「知っている情報」でも、顔という「本人の体」でも、 扉に鍵がかかっていることに変わりはありません。他人の顔写真で扉を開ければ、 他人のパスワードで開けたのと同じ扱いになります。
なぜ顔から作る符号も識別符号になるのか
同法は、アクセス制御機能の照合に使う符号を「識別符号」と呼び、次の3種類(とそれらの組合せ)を挙げています。
- アクセス管理者が、みだりに第三者に知らせてはならないとしている符号(パスワードなど)
- 利用者の身体の全部か一部の影像、または音声から、アクセス管理者が定める方法で作る符号(顔・指紋・声など)
- 利用者の署名から、アクセス管理者が定める方法で作る符号
秘密にしておくことが要件になっているのは1つ目だけです。顔は日常的に人に見られるものなので、 写真が公開されていても識別符号でなくなるわけではありません。この問題の人物は、 インターネットを通じて他人の識別符号を入力し、ログインできる状態にしているので、不正アクセス行為にあたります。
担当者としては、生体認証も法律上は鍵の一種として扱われることを押さえたうえで、 写真でだまされにくい方式(生体検知の機能など)を選ぶ、他の要素と組み合わせるといった対策を検討します。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 実際の扱い |
|---|---|
| 顔から作る符号も識別符号 | 顔認証もアクセス制御機能として保護される |
| 識別符号はIDやパスワードだけ | 身体の影像・音声や署名から作る符号も含む |
| 公開された写真なら秘密ではない | 秘密性の要件はパスワードのような符号だけ |
| システムが通したなら許可された利用 | 他人の符号で照合を通り抜けること自体が不正アクセス行為 |
場面の問題では、「鍵の種類」ではなく「他人の鍵で、承諾なく、ネットワーク越しに制限を解いたか」で判断します。