正解:ウ
各選択肢の解説
ア影響と発生可能性の段階を5段階に細かく分け直し、リスクマトリックス上の位置で示す。
誤り。段階を細かくしても、「大・中・小」のような区分で表す定性的分析のままです。 マトリックスはリスクどうしの大小や優先順位を比べるのには向きますが、 金額にならないので、300万円の対策費と直接は比べられません。
イ同業他社が同じ対策にかけている費用を調べ、他社並みの水準かどうかで示す。
誤り。他社の水準に合わせる考え方で、自社のリスクの大きさを測っていません。 持ち出すPCの台数や扱う情報が違えば、同じ費用でも見合うかどうかは変わります。 求められているのは、自社のリスクと対策費の比較です。
ウ過去の紛失件数から年間の発生回数を見積もり、1件当たりの損失額を掛けて年間の予想損失額を出す。
正解。リスクの定量的分析です。発生頻度と1回当たりの損失額から年間の予想損失額を 金額で出せば、対策でどれだけ減るかを対策費と同じ単位で比べられます。
エ影響が大きいリスクなので、リスク基準に照らして対策が必要だという評価の結果を示す。
誤り。リスク基準と比べて対応が要るかを決めるのはリスク評価で、分析の次の段階です。 対策が要ることは示せても、300万円という費用に見合うかという問いには答えていません。 対策の要否と、費用の妥当性は別の問いです。
理解を深めるために
費用と比べたいなら、リスクも金額で表す
「影響:大、発生可能性:中」という表し方は分かりやすい一方で、お金の単位を持ちません。 対策費が300万円だと言われても、「大・中」と300万円は比べようがありません。 費用対効果を問われたら、リスクの大きさも金額に直すのが筋です。これが定量的分析です。
定量的分析と定性的分析
- 定量的分析: 発生頻度や損失額を数値で見積もる。例えば、年に2件の紛失が起きそうで、 1件の漏えいで対応費や賠償などに400万円かかるなら、年間の予想損失額は800万円。 対策でこれがどれだけ減るかを、対策費と比べられる
- 定性的分析: 影響や発生可能性を「大・中・小」などの段階で表す。手早く多くのリスクを 並べて比べられ、リスクマトリックスで整理しやすい
定量的分析は根拠となる数字(件数、損失額)を集めるのに手間がかかり、 見積もりの精度にも限りがあります。そのため、まず定性的分析で全体を見渡し、 投資判断が要る重要なリスクだけを定量的に分析する、という使い分けがよく行われます。
混同しやすいものとの違い
| 進め方 | 何が分かるか |
|---|---|
| 定量的分析(年間の予想損失額) | リスクを金額で表し、対策費と比べられる |
| 定性的分析・リスクマトリックス | リスクどうしの大小や優先順位 |
| 他社並みの水準と比べる | 業界の相場。自社のリスクの大きさは分からない |
| リスク基準による評価 | 対応が要るかどうか(分析の次の段階) |
「何と比べたいのか」を読むのがこつです。リスクどうしの順位なら定性的、 対策費との比較なら定量的な分析が向いています。