問題 4★★☆

情報セキュリティ担当者が内部不正の対策を、本人の性格や動機を変えることではなく、 「犯行を難しくする」「見つかりやすくする」「得をしないようにする」「言い訳を させない」などの観点で整理した。この整理の基になっている考え方として 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア不正のトライアングル

    誤り。不正のトライアングルは、動機・機会・正当化の3つがそろうと不正が 起きやすいという、不正の要因を説明する考え方です。対策の検討にも使われますが、 問題文の観点は3要素ではなく、犯行の場面をどう変えるかで並んでいます。

  2. イ状況的犯罪予防

    正解。状況的犯罪予防は、人の内面ではなく犯行が起きる状況に手を入れて 予防する考え方です。難しくする、見つかりやすくする、得をしないようにする、 言い訳をさせないといった観点で対策を組み立てます。

  3. ウ割れ窓理論

    誤り。割れ窓理論は、小さな乱れを放置すると「ここでは規則が守られていない」 という合図になり、より重い違反を招くという考え方です。環境に目を向ける点は 共通しますが、軽微な違反を見逃さないことに焦点があります。

  4. エ多層防御

    誤り。多層防御は、性質の違う対策を何重にも重ね、1つが破られても次で 止める考え方です。複数の対策を組み合わせる点は似ていますが、外部からの攻撃を 含めた守りの構造の話で、不正を起こさせない観点の整理ではありません。

理解を深めるために

人を変えるのではなく、場面を変える

自転車の盗難を減らすには、盗む人の心を入れ替えるより、二重ロックを付ける、 防犯カメラのある場所に置く、といった工夫のほうが確実です。 状況的犯罪予防は、このように犯行が起きる状況に手を入れて不正を減らす、 犯罪学の考え方です。

内部不正の対策に当てはめると

人の性格や動機は外から変えにくいものです。そこで、状況の側を次のような観点で変えます。

  • 犯行を難しくする: 重要な情報へのアクセス権を、業務に必要な人だけに絞る
  • 見つかりやすくする: 操作ログを取得し、取得していることを周知する
  • 得をしないようにする: 持ち出したデータを暗号化して、外では使えないようにする
  • 言い訳をさせない: 禁止事項を明文化し、「知らなかった」と言える余地をなくす

このほかに、不満やねたみなど犯行のきっかけを減らす観点も挙げられます。

混同しやすいものとの違い

考え方 何に注目するか
状況的犯罪予防 犯行が起きる状況を変えて、不正をしにくくする
不正のトライアングル 動機・機会・正当化の3要素がそろうと不正が起きる
割れ窓理論 小さな乱れの放置が、より重い違反を招く
多層防御 性質の違う対策を重ね、1つが破られても次で止める

不正のトライアングルは「なぜ起きるか」を説明する枠組み、状況的犯罪予防は 「どう起こさせないか」を組み立てる枠組みです。並べられている観点が3要素か、 状況の変え方かで見分けてください。

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