正解:エ
各選択肢の解説
ア人事評価への不満を聞く面談を設け、不正に向かう事情を早めにつかむ。
誤り。これは不正のトライアングルの「動機」に働きかける対策です。 不満や金銭の悩みといった本人の事情に目を向けるもので、職場で小さな違反が 放置されている状態そのものには手を入れていません。
イ重要な情報へのアクセス権を絞り、持ち出しに手間がかかるようにする。
誤り。これは犯行を難しくして機会を減らす、状況的犯罪予防の対策です。 環境に手を入れる点は割れ窓理論と似ていますが、重い不正をしにくくする対策で、 見過ごされている小さな違反を正すものではありません。
ウ持ち出しで懲戒処分となった事例を周知し、知らなかったと言えなくする。
誤り。これは「知らなかった」「みんなやっている」という言い訳を封じる、 正当化に働きかける対策です。規則を知らせることは大切ですが、 目の前の小さな違反を放置したままでは、職場の状態は変わりません。
エ小さな違反でもその場で指摘して直させ、規則が守られる職場の状態を保つ。
正解。割れ窓理論は、小さな乱れの放置が「ここでは規則が守られていない」という 合図になり、より重い違反を招くという考え方です。小さな違反を見逃さずに直すことで、 その合図を消します。
理解を深めるために
1枚の割れた窓が、次の窓を割らせる
窓ガラスが1枚割れたまま放置された建物では、やがて他の窓も割られていきます。 「ここは誰も気にしていない」という合図になるからです。割れ窓理論は、 小さな乱れを放置すると、より重い違反を招くという犯罪学の考え方です。
職場に当てはめると
画面ロックの忘れや机上の書類の放置は、それだけでは大きな事故になりません。 しかし誰も注意しない状態が続くと、「この職場では規則は守らなくてよい」という空気ができ、 情報の持出しのような重い違反への心理的な抵抗も下がります。
- 小さな違反を見つけたら、その場で指摘して直させる
- 巡回や点検を続け、規則が守られている状態を目に見える形で保つ
小さな違反を取り締まること自体が目的なのではなく、職場の規律が保たれている という合図を出し続けることが狙いです。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 対策の向け先 | 例 |
|---|---|---|
| 割れ窓理論 | 小さな乱れの放置 | 軽微な違反もその場で直させる |
| 状況的犯罪予防 | 犯行の起きる状況 | アクセス権を絞り持ち出しを難しくする |
| 不正のトライアングル(動機) | 本人の事情 | 不満を聞く面談 |
| 不正のトライアングル(正当化) | 言い訳の余地 | 懲戒事例の周知 |
どの対策も内部不正を減らすのに役立ちますが、問題文が「どの考え方に基づくか」を 問うときは、対策が何に向けられているかで見分けてください。割れ窓理論の手掛かりは 「小さな違反」と「放置しない」です。