問題 1★★☆

受注業務で使うクラウドサービスのSLAに「月間稼働率99.9%。下回った場合は、 その月の利用料の一部を返金する」とある。このSLAを読んだ担当者の判断として、 最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア未達のときに定められているのは返金だけなので、停止中の業務への影響には自社で備える。

    正解。SLAは目標の水準と、未達のときの扱いを取り決めたものです。このSLAで 約束されているのは利用料の返金までで、受注が止まった損失は自社に残ります。

  2. イ稼働率99.9%が約束されているので、月に数分を超えて止まることはないと見込める。

    誤り。99.9%は目標の水準で、止まらないことの保証ではありません。仮に満たしていても、 30日の月なら約43分の停止は目標の範囲内です。下回ることもあり、その場合の扱いとして 返金が定められています。

  3. ウSLAを下回れば、停止で生じた受注の損失は事業者がすべて賠償する。

    誤り。SLAに書かれた未達時の扱いは、利用料の一部の返金です。業務が止まった 損失の賠償とは別物で、返金は「その月の利用料の一部」の範囲にとどまります。 損失の補償まで期待するなら、別の取決めや保険を検討することになります。

  4. エ事業者がSLAで稼働率を約束しているので、自社で代替手段を検討する必要はない。

    誤り。SLAは事業者が目指す水準の取決めで、停止時に受注業務を続ける手段までは 含みません。業務への影響が大きいなら、停止時の代替手順などを自社で用意します。 サービスに頼る部分と、自社で備える部分を分けて考えます。

理解を深めるために

SLAは「止まらない保証」ではなく「目標と、外れたときの約束」

宅配便の「翌日配達」は目標で、遅れたら送料が戻ることはあっても、届かなかったために 逃した商談の損失までは補償されません。SLA(サービスレベル合意書)も同じです。 提供者と顧客が合意したサービスの水準と、それを下回ったときの扱いを書いたもので、 利用者の業務を守ることまで引き受けたものではありません。

SLAの数字をどう読むか

  • 目標値: 月間稼働率99.9%でも、30日の月なら約43分の停止は目標の範囲内
  • 未達時の扱い: この例では「その月の利用料の一部」の返金。業務が止まった損失とは比べものにならないことが多い
  • 自社に残るもの: 停止している間の業務をどう続けるか、損失をどう抑えるか

サービスマネジメントは、合意した水準でサービスを提供し続けるための活動です。 利用する側から見れば、SLAは「どこまでを提供者に任せられるか」の線を示す文書です。 その外側にある業務の継続は、利用者自身が考えることになります。

混同しやすい読み方との違い

SLAの読み方 正しいか 理由
未達時は返金だけ。業務への影響は自社で備える 正しい 約束の範囲は目標と返金まで
99.9%なら月に数分しか止まらない 誤り 目標の範囲内でも月に約43分止まりうる
未達なら損失を事業者が賠償する 誤り 返金と損害賠償は別物
約束があるので代替手段は不要 誤り 業務の継続は利用者側の課題

SLAの数字を見たら、「約束されているのは何で、外れたときに何が起きるか」を読みます。 数字の大きさだけで安心しないことが問われます。

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