正解:ウ
各選択肢の解説
アインシデントを一件も発生させないことを、委託期間を通じて保証する。
誤り。SLAは測って達成を判定できる水準を合意するものです。インシデントは対策をしても 起こりうるので、「起こさない」は誰も保証できません。約束すべきなのは、起きたときに どう動くかの水準です。
イインシデントを把握したときは、内容を確かめたうえで速やかに報告する。
誤り。報告すること自体は必要ですが、「速やかに」では何時間後までなら達成なのかを 双方で判定できません。内容の確認を待つ分だけ第一報が遅れる余地も残ります。 SLAにするなら、時間を数値で決めます。
ウインシデントの検知から1時間以内に第一報を送り、実績を毎月報告する。
正解。目標が数値なので、守れたかどうかを委託元が確かめられます。毎月の実績報告で、 合意した水準が保たれているかを継続して見られます。
エ自社のインシデント対応手順書を整備し、その写しを委託元へ提出する。
誤り。手順書は委託先の内部で使う運用の文書で、委託元に約束する水準ではありません。 手順書があっても、報告がいつ届くかは決まらないままです。手順書の提出は別途求めても よいですが、SLAの代わりにはなりません。
理解を深めるために
SLAに書くのは「測って判定できる約束」
「なるべく早く届けます」と言われても、3日後に届いたとき約束が守られたのかどうかは 誰にも決められません。「翌日の午前中に届けます」なら判定できます。 SLA(サービスレベル合意書)も同じで、提供者と顧客が測って達成を判定できる水準を 合意しておく文書です。セキュリティインシデントの報告も、この形に直して初めてSLAになります。
なぜ数値と実績報告が要るのか
サービスマネジメントは、合意した水準でサービスを提供し続けるための活動です。そのためには、
- 合意: 何を、どの水準で提供するかを決める(ここでは「検知から1時間以内の第一報」)
- 測定: 実際にその水準を満たしたかを記録する
- 報告と見直し: 実績を顧客に示し、外れていれば原因と改善を話し合う
の流れが回る必要があります。「速やかに」や「発生させない」は、測定の段階で止まります。 委託元から見れば、外に出した業務でも報告がいつ届くかを確かめられる状態にしておくことが、 自社の情報資産を守る判断につながります。
混同しやすい書き方との違い
| SLAの書き方 | SLAとして使えるか | 理由 |
|---|---|---|
| 検知から1時間以内に第一報、実績を毎月報告 | 使える | 数値で達成を判定でき、継続して確かめられる |
| インシデントを発生させないことを保証 | 使えない | 誰も保証できず、約束として成り立たない |
| 把握したら速やかに報告 | 使えない | 何時間後までが達成か判定できない |
| 対応手順書の写しを提出 | 代わりにならない | 委託先の内部文書で、水準の約束ではない |
SLAの選択肢を見たら、「守れたかどうかを、後から数字で確かめられるか」で見分けます。