正解:ウ
各選択肢の解説
ア事業者の設備が原因の停止は、利用部門とのSLAの対象から外すと利用部門に通知する。
誤り。SLAは提供者と顧客の合意なので、提供者の都合で一方的に範囲を狭めることは できません。見直すなら利用部門と協議します。それ以前に、供給者との取決めを 整えれば守れる約束を、手放す理由にもなりません。
イ事業者にISMS認証の取得を求め、取得を確認できるまで契約の更新を見送る。
誤り。ISMS認証は情報セキュリティの管理の仕組みが基準に適合していることを示すもので、 障害から何時間で復旧するかを約束するものではありません。供給者の評価としては 意味がありますが、復旧時間の不足という今回の問題は直りません。
ウ事業者との契約に、SLAを満たせる復旧時間の目標と実績の報告を定め、達成状況を定期的に確かめる。
正解。供給者管理です。顧客に約束した水準を支えられるよう、供給者とも目標を 取り決め、実績を見て管理します。外部に任せた部分も含めて、顧客への責任は 情報システム部門に残るからです。
エSLAを守れなかった原因は事業者にあるので、利用部門への説明と報告は事業者に直接行わせる。
誤り。利用部門とSLAを結んでいるのは情報システム部門で、サービスの報告もその 責任の一部です。作業の一部を外部に任せても、顧客に対する責任まで事業者へ 移るわけではありません。原因が誰にあっても、報告するのは提供者です。
理解を深めるために
顧客への約束は、下請けとの約束で支える
引越し業者が「午前中に搬入します」と約束したのに、トラックの手配先とは時間を 決めていなかったとします。トラックが遅れても、客に謝るのは引越し業者です。 次からは、手配先との間でも「何時までに着く」と決めておくはずです。 サービスの一部を外部に任せるときも同じで、顧客に約束した水準を、供給者との 取決めで裏付けるのが供給者管理です。
なぜ供給者との契約を直すのか
この場面では、利用部門への約束(4時間)と、それを支える事業者との契約(定めなし)が かみ合っていません。直し方は次のとおりです。
- 事業者との契約に、利用部門へのSLAを満たせる復旧時間の目標を入れる
- 障害の対応時間などの実績を報告してもらい、目標を満たしているかを定期的に確かめる
- 満たせない状態が続くなら、契約の見直しや供給者の変更を検討する
外部に任せた部分の結果も、顧客から見れば情報システム部門のサービスの一部です。 任せた先を管理することまでが、サービスを提供する側の仕事です。
混同しやすいものとの違い
| 対応 | 何をしているか | この場面での問題 |
|---|---|---|
| 供給者管理(契約に目標と報告を定める) | 顧客への約束を供給者との取決めで支える | (原因をそのまま直す) |
| SLAの範囲を一方的に狭める | 約束を減らす | 合意なしには変えられない |
| ISMS認証を求める | セキュリティ管理の確認 | 復旧時間の約束ではない |
| 報告を事業者に任せる | 責任の付け替え | 顧客への責任は提供者に残る |
外部委託の場面では「誰が顧客に責任を負っているか」と「その責任を供給者との 取決めで支えているか」を確かめると、選択肢を見分けられます。