正解:ア
各選択肢の解説
ア重大なインシデントとして事前に定めた手順に切り替え、対応の責任者を決めて経営層へ速やかに報告する。
正解。顧客の情報が流出した疑いは、影響の大きさから重大なインシデントに当たります。 通常の受付の流れから外し、あらかじめ定めた手順で責任者を置き、 経営層へ早く知らせることで、組織としての判断が遅れずに済みます。
イ受付順の公平さを保つため、待っている問合せを処理し終えてから、通常のインシデントとして対応する。
誤り。インシデントは影響と緊急度で優先度を付けて扱います。受付順に並べると、 操作方法の問合せの後ろで流出が続くことになります。順番の公平さより、 事業と顧客への影響の大きさが優先度を決めます。
ウ問題管理で根本原因を突き止めることを優先し、経営層への報告は流出の原因が確定してから行う。
誤り。根本原因の調査は問題管理の役目ですが、確定には時間がかかります。 流出の疑いの段階で、被害の拡大を止める判断や顧客への対応を決めるのは経営層です。 原因が分かるまで報告を待つと、その判断が遅れます。
エサービスデスクの担当者が自らサーバのログを調べ、流出が確かめられた時点でセキュリティ担当へ引き継ぐ。
誤り。これはエスカレーションを遅らせる対応です。サービスデスクは一次対応の窓口で、 ログの調査や流出の判断に必要な権限や技術を持つとは限りません。疑いの段階で、 対応できる担当へ引き継ぐのがエスカレーションです。
理解を深めるために
いつもの列に並ばせてはいけない連絡がある
病院の受付に、救急車で運ばれた患者を「番号札を取ってお待ちください」とは言いません。 命にかかわる人は、別の通路と別の体制で診ます。 サービスマネジメントで、それに当たるのが重大なインシデントです。
重大なインシデントはどう扱うのか
インシデントは、影響と緊急度に応じて優先度を付けて対応します。 その中でも影響が特に大きいものは、通常とは別の手順で扱います。 JIS Q 20000-1:2020 では、おおむね次のことを求めています。
- 重大なインシデントに当たるかを判断する基準を、あらかじめ文書にしておく
- 該当したら定めた手順に従って扱い、トップマネジメントに知らせる
- 重大なインシデントの対応に責任を持つ人を任命する
- 解決した後に、経緯と結果を振り返る
顧客の個人情報の流出の疑いは、顧客への連絡や関係機関への報告まで絡むので、 現場だけで判断できる範囲を超えます。疑いの段階で手順を切り替えるのが要点です。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何をするか |
|---|---|
| 重大なインシデント | 影響が特に大きく、別の手順と責任者で緊急に扱う事象 |
| インシデント管理 | 優先度を付けて対処し、サービスを早く元に戻す |
| 問題管理 | 根本原因を突き止め、再発を防ぐ(時間をかけてよい) |
| エスカレーション | 権限や技術が足りないとき、対応できる担当へ引き継ぐ |
試験では「顧客情報」「流出の疑い」のように影響の大きさが書かれていたら、 受付順や原因の確定を待たず、重大なインシデントの手順に移る選択肢を選びます。