正解:ア
各選択肢の解説
ア繰り返し起きている事実を問題として記録し、侵入の経路などの根本原因を調べて再発を防ぐ処置を決める。
正解。個々の駆除で終わらせず、インシデントの傾向から問題を特定して 根本原因を調べるのが問題管理です。持込みの記憶媒体なのか、特定のメールなのか、 入り口を突き止めない限り同じ検知は続きます。
イ各件は駆除で解決済みなので記録は終了のままとし、次に検知されたときも同じ手順で駆除して終える。
誤り。インシデント管理としては正しい終わらせ方ですが、それはサービスを元に戻す 活動だからです。同じ事象が十数件そろっていること自体が、共通の原因があることを 示しています。インシデント管理の範囲で止めると、入り口が開いたままになります。
ウ重大なインシデントとして扱い、原因が分かるまで部門のPCをすべてネットワークから切り離す。
誤り。重大なインシデントは、影響が大きく通常とは別の手順で緊急に扱う事象です。 今回はどれも駆除が確認され、広がりも見られないので、部門の業務を全面的に 止める状況ではありません。原因の調査は、業務を続けながら問題管理で進められます。
エ駆除作業をサービス要求として定型の手順にし、検知のたびに利用者がサービスデスクへ依頼する形にする。
誤り。サービス要求は、パスワードの再設定や機器の貸出しのように、あらかじめ 想定された利用者からの依頼です。マルウェアの検知はサービスの中断や品質低下に 当たるインシデントで、定型の依頼に組み替えても原因は残ります。
理解を深めるために
火を消す係と、火元を探す係
インシデント管理は、起きた事象に対処してサービスを早く元に戻す活動です。 一件ずつ見れば、検知して駆除し、終了したのは正しい対応です。 しかし同じ種類のマルウェアが同じ部門で十数回現れているなら、どこかに共通の 入り口があります。火を消し続けるだけでなく、火元を探す係が要ります。 それが問題管理です。
問題管理は何をするのか
JIS Q 20000-1:2020 では、問題を「一つ以上の実際に起きた又は潜在的なインシデントの原因」と 定義しています。問題管理では、次のことを行います。
- インシデントのデータと傾向を分析して、問題を特定する(傾向分析)
- 根本原因の分析に着手し、発生や再発を防ぐための処置を決める
- 根本原因や影響を減らす方法が分かったが恒久的に解決できていない問題は、 既知の誤りとして記録し、サービスデスクなどが使えるようにする
今回の場面では、傾向から「同じ部門・同じ種類」という手がかりが出ています。 問題として記録し、侵入の経路を突き止めて、たとえば記憶媒体の利用制限や メールの受信対策といった処置を決めるのが筋です。恒久的な対策に設定変更などが 伴う場合は、変更管理の手続を通します。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何をするか |
|---|---|
| 問題管理 | インシデントの原因を突き止め、再発を防ぐ |
| インシデント管理 | サービスの中断に対処し、早く元に戻す |
| 重大なインシデント | 影響が大きく、緊急の別手順で扱う事象 |
| サービス要求 | 想定された利用者からの依頼(パスワード再設定など) |
試験では、個々の事象は解決済みなのに同じことが繰り返されているという記述があれば、 問題管理の出番だと読み取ります。