問題 10★★★

同業他社が、VPN装置の脆弱性を突かれて社内ネットワークに侵入されたと公表した。 自社でも同じ機種を使っているが、これまで関連するインシデントは起きていない。 サービスマネジメントの考え方に沿った対応として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア自社ではインシデントが起きていないので、侵入が検知された時点でインシデント管理として対応する。

    誤り。インシデント管理は、起きた事象に対処してサービスを元に戻す活動です。 それを待つ構えでは、侵入されてから動くことになります。 原因になりうるものが見えているなら、起きる前に手を打てます。

  2. イ他社の事例は自社の不適合ではないので、監査で指摘を受けたときに是正処置として対応する。

    誤り。是正処置は、自社で実際に起きた不適合の原因を取り除き、再発を防ぐ処置です。 まだ起きていないことに対して、指摘を待ってから動くのでは遅く、 未然に防ぐという考え方とも合いません。

  3. ウ潜在的なインシデントの原因として問題管理で扱い、該当の有無を確かめて、起きる前に防ぐ処置を決める。

    正解。問題管理は、実際に起きたインシデントだけでなく、潜在的なインシデントの 原因も扱います。同じ機種・同じ版かを確かめ、修正の適用などで発生を防ぐのが 予防処置の考え方です。

  4. エ重大なインシデントとして緊急の手順に切り替え、対応の責任者を任命して経営層へ直ちに報告する。

    誤り。重大なインシデントは、実際に起きた事象のうち影響が特に大きいものです。 今回は自社で何も起きておらず、侵入の兆候も報告されていません。 報告や緊急体制は、影響が確認された段階で取る手順です。

理解を深めるために

隣の家の火事で、自分の家の配線を点検する

隣の家が古い配線から火を出したと聞いたら、同じ時期に建てた自分の家の配線を点検します。 まだ燃えていないからといって何もしないのは、運が良いだけです。 起きる前に原因を取り除く処置を予防処置と呼びます。

問題管理は「まだ起きていない原因」も扱う

JIS Q 20000-1:2020 では、問題を「一つ以上の実際に起きた又は潜在的なインシデントの原因」と 定義しています。つまり問題管理の対象には、まだインシデントになっていない原因も入ります。

  • 他社の事例や公表された脆弱性情報から、自社にも当てはまる原因がないかを確かめる
  • 当てはまれば問題として記録し、発生を防ぐ処置を決める
  • 修正の適用など設定やソフトウェアの変更が伴うなら、変更管理を通して実施する

今回は「同じ機種を使っている」ことが手がかりです。版や設定まで同じかを確かめ、 該当すれば修正を当てるといった処置を、侵入される前に済ませます。

混同しやすいものとの違い

用語 いつ・何に対して
予防処置 まだ起きていない原因を取り除き、発生を防ぐ
是正処置 実際に起きた不適合の原因を取り除き、再発を防ぐ
インシデント管理 起きた事象に対処し、サービスを早く元に戻す
重大なインシデント 起きた事象のうち影響が特に大きく、緊急の手順で扱う

試験では「自社では起きていないが、同じ条件がある」という記述があれば、 起きる前に防ぐ予防処置の側を選びます。

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