正解:エ
各選択肢の解説
ア市場浸透戦略
誤り。既存の製品を既存の市場で、より多く売る戦略です。 値下げや販促で家庭向けの購入者を増やすならこれに当たりますが、 D社は取引のなかった飲食店という新しい市場に出ています。
イ製品開発戦略
誤り。既存の市場に向けて新しい製品を投入する戦略です。 家庭向けに新機能の機種を出すならこれに当たりますが、 D社は製品の仕様を変えておらず、変えたのは売る相手の側です。
ウ多角化戦略
誤り。新しい製品で新しい市場に出る戦略です。 市場が新しい点は同じですが、製品は既存のままなので、 製品と市場の両方が新しいという条件を満たしません。
エ市場開拓戦略
正解。既存の製品を、新しい市場(地域や顧客層)に投入する戦略です。 製品は変えず、家庭向けから飲食店向けへと売る相手を広げたD社の方針に一致します。
理解を深めるために
「何を」と「誰に」の2つの軸で4つに分ける
アンゾフの成長マトリクスは、企業が成長する方向を 製品(既存か新規か)× 市場(既存か新規か) の2軸で4つに整理した枠組みです。
| 既存市場 | 新規市場 | |
|---|---|---|
| 既存製品 | 市場浸透 | 市場開拓 |
| 新規製品 | 製品開発 | 多角化 |
D社を2つの軸に当てはめると、
- 製品:仕様を変えていない → 既存
- 市場:取引のなかった飲食店 → 新規
となり、右上の市場開拓戦略に入ります。
ここでいう「市場」は地域だけではない
新規市場というと海外進出を思い浮かべがちですが、 これまで売っていなかった顧客層に売り込むのも新しい市場です。 家庭向けから業務用へ、若年層から高齢層へ、といった顧客層の転換も市場開拓に数えます。
判断の順番は、まず「製品を変えたか」、次に「売る相手を変えたか」。 2つを別々に確かめてから表に当てはめると、取り違えを防げます。 また、多角化は2軸とも新しくなるため、既存の経験を生かしにくく、4つの中で最もリスクが高いとされます。
混同しやすいものとの違い
| 戦略 | 製品 | 市場 |
|---|---|---|
| 市場開拓戦略 | 既存 | 新規 |
| 市場浸透戦略 | 既存 | 既存 |
| 製品開発戦略 | 新規 | 既存 |
| 多角化戦略 | 新規 | 新規 |
試験では場面の記述から2つの軸を読み取らせる形が多いので、 「製品は変えずに」「新たな顧客層に」といった言葉に印を付けて判断します。