問題 49★★★

独自の設計技術を強みとする電子部品メーカーが、限られた人員を設計開発に集中させる方針を決めた。 社内で担当している給与計算業務への対応として、この方針に最も合うものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア給与計算を請け負う専門会社を買収し、自社グループ内で処理する体制にする。

    誤り。これはM&A(買収)です。業務を外に出す点では似ていますが、買収すれば その会社の経営も自社グループで担うことになり、資金や管理の手間が 設計開発以外に流れます。経営資源を中核に集めるという方針とは逆向きです。

  2. イ給与計算の担当者を増やし、社内での処理体制をより手厚くする。

    誤り。業務の品質は上がるかもしれませんが、限られた人員を中核でない業務に さらに振り向けることになります。方針が「設計開発への集中」である以上、 中核でない業務に人を足すのは優先順位が逆です。

  3. ウ給与計算を外部の専門業者に委託し、その分の人員を設計開発に回す。

    正解。中核でない業務を外部に任せ、浮いた人員を強みの分野に回すのが アウトソーシングの典型的な使い方です。コアコンピタンスへの集中とセットで用います。

  4. エ給与計算の仕組みを商品化し、他社向けのサービスとして販売を始める。

    誤り。これは事業の多角化にあたります。社内の業務を収益源に変える発想ですが、 新しい事業を立ち上げれば営業や運用に人員が必要になります。 設計開発に人を集めるという方針とは合いません。

理解を深めるために

「得意なことに集中し、それ以外は任せる」

料理店の店主が、仕込みと調理には時間を惜しまない一方で、帳簿付けは税理士に、 清掃は清掃業者に頼んでいるとします。店の評判を決めるのは料理なので、 そこに自分の時間を集めるわけです。企業も同じで、強み以外の業務を 外部の専門業者に任せることをアウトソーシングといいます。

なぜ全体戦略で使われるのか

人・物・金・情報といった経営資源には限りがあります。全体戦略では次の順で考えます。

  • 自社のコアコンピタンス(他社がまねしにくい中核の能力)を見極める
  • そこに経営資源を集中する
  • 中核でない業務はアウトソーシングで外部に任せる

給与計算は正確さが求められる重要な業務ですが、この会社の競争力を決める業務ではありません。 専門業者に任せれば、品質を保ちながら社内の人員を設計開発に回せます。

混同しやすいものとの違い

対応 経営資源の動き
アウトソーシング 中核でない業務を外に出し、資源を中核に集める
M&A(買収) 他社ごと取り込むので、管理する範囲がむしろ広がる
社内体制の増強 中核でない業務に資源を追加する
多角化(外販) 新しい事業に資源を振り向ける

試験では「何に経営資源を集中したいか」が問題文に書かれます。 その方針に対して資源が中核へ向かう選択肢かどうかで判断します。

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