問題 50★★★

食品メーカーが介護食の市場に参入したい。自社で一から開発すると数年かかるため、 既に販売網と技術をもつ企業の経営権を得て、自社の事業として一体で運営したい。 この目的に最も適した手段はどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア介護食を手がける企業をM&Aで傘下に収める。

    正解。相手企業の技術・販売網・人材をまとめて取り込めるので、開発の時間を省けます。 経営権を得るので、自社の事業として一体で運営できる点も条件に合います。

  2. イ介護食を手がける企業と業務提携を結ぶ。

    誤り。これはアライアンスです。相手の技術や販売網を早く使える点は同じですが、 両社は独立したままで経営権は得られません。「自社の事業として一体で運営したい」 という条件を満たさないのが決め手です。

  3. ウ社内に新部署をつくり、介護食を自社開発する。

    誤り。経営権の問題はありませんが、問題文で数年かかると分かっている方法です。 技術や販売網を自前で育てるため時間がかかります。 「早く参入したい」という条件に対して最も遠い手段です。

  4. エ介護食の製造を外部企業に委託し、自社は販売に専念する。

    誤り。これはアウトソーシングです。製造の手間は外に出せますが、 販売網はこれから自社で作らなければならず、相手の経営権も得られません。 自社に足りない能力を外から取り込む手段ではありません。

理解を深めるために

M&Aは「時間を買う」手段

新しい市場に入るには、製品の技術、売り先、経験のある人材がそろう必要があります。 自前で育てれば何年もかかりますが、それらを既に持っている企業を買収すれば、 翌日から自社の事業として動かせます。M&A(合併・買収)が「時間を買う」と 言われるのはこのためです。

なぜM&Aが選ばれるのか

全体戦略で外部の力を使う方法はいくつかあります。決め手になるのは次の2点です。

  • どれだけ早く能力を手に入れられるか
  • 相手の経営にどこまで関与できるか(経営権を得るか、独立を保つか)

M&Aは両方を満たしますが、買収の費用が大きく、企業文化の違う組織を 一つにまとめる手間もかかります。速さと支配力の代わりに負担を引き受ける手段です。

混同しやすいものとの違い

手段 速さ 経営権
M&A 早い 得る
アライアンス(業務提携) 早い 得ない(互いに独立)
自社開発 遅い 自社のみ
アウトソーシング ― 得ない(業務を外に出す)

試験では「経営権」「傘下」「一体で運営」があればM&A、 「独立性を保つ」「協力」があればアライアンスと読み分けます。

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