正解:エ
各選択肢の解説
ア自社の経営陣が、株主から株式を買い取って自社の経営権を取得すること。
誤り。これはMBO(マネジメント・バイアウト)の説明です。MBOの手段として TOBが使われることもあるため混同されますが、MBOは「誰が買うか(自社の経営陣)」に 着目した呼び名で、TOBは「どうやって買うか(条件を公告して募る)」の呼び名です。
イ会社が新しく株式を発行し、特定の相手に引き受けてもらって資金を得ること。
誤り。これは第三者割当増資の説明です。どちらも特定の企業が株式を多く持つ結果に なりますが、第三者割当増資は会社が新株を「発行する」側の行為です。 TOBは既に出回っている株式を株主から「買い集める」行為で、向きが逆です。
ウ複数の企業が資金を出し合って新しい会社を設立し、共同で事業を営むこと。
誤り。これは合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立で、アライアンスの一形態です。 他社と組んで事業を広げる点は同じですが、相手企業の株式を買い集めて 経営権を握るTOBと違い、出資企業はそれぞれ独立したままです。
エ買付けの価格や期間などを公告し、市場外で不特定多数の株主から株式を買い集めること。
正解。買う条件をあらかじめ広く知らせ、応じた株主から一斉に買い取る方法です。 短期間でまとまった株式を集められるため、M&Aで経営権を取得する手段として使われます。
理解を深めるために
「この値段で買います」と広く呼びかける買い方
ある会社の株式を大量に手に入れたいとき、証券取引所で少しずつ買い増すと、 買っているうちに株価が上がり、いくらで何株集まるかも読めません。 そこで「1株○円で、この期間に、これだけの株数を買います」と公告し、 売ってもよいと考える株主から市場の外でまとめて買い取ります。これがTOB(公開買付け)です。
なぜこの方法が使われるのか
- 価格と期間が決まっているので、株主は全員同じ条件で売るかどうかを判断できる
- 買う側は、短期間でまとまった株式を集め、経営権を取得しやすい
- 条件を公告するので、取引の透明性が保たれる
TOBはM&A(合併・買収)のうち、株式を買い集めて相手企業を傘下に入れる 「買収」の手段の一つです。M&Aが目的の総称、TOBがそのための買い方、という関係です。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何をするか |
|---|---|
| TOB(公開買付け) | 条件を公告し、市場外で株主から株式を買い集める |
| MBO | 経営陣が自社の株式を買い取り経営権を得る(買い手に着目) |
| 第三者割当増資 | 会社が新株を発行し、特定の相手に引き受けてもらう |
| 合弁会社の設立 | 複数社が出資して新会社をつくり、共同で事業を営む |
試験では「公告」「不特定多数の株主」「市場外で買い付け」がTOBの目印です。 株式が「新しく発行される」のか「既存の株主から買われる」のかで、増資と見分けられます。