正解:イ
各選択肢の解説
ア利用者の投稿による権利侵害について、削除の申出に対応する手続を定めて公表すること。
誤り。これは情報流通プラットフォーム対処法が、大規模なSNSなどの事業者に課す 義務です。どちらもプラットフォームが対象ですが、こちらは投稿された情報による 権利侵害を扱います。出店者との取引の公正さを扱う法律とは、問題の種類が違います。
イ出店者などの利用事業者に取引条件を開示し、運営状況の報告書を毎年度国に提出すること。
正解。取引条件の開示と、自主的な手続・体制の整備を義務付け、毎年度の報告書を 基に経済産業大臣が運営状況を評価します。取引の透明性を高めて公正さを促す法律です。
ウ出店者が出す通信販売の広告に、返品の可否や条件などを必ず表示させること。
誤り。返品の可否や条件の表示は、特定商取引法が通信販売を行う販売業者、つまり 出店者自身に課す義務です。モールの運営事業者に出店者の広告を管理させる仕組みでは ありません。この法律が見るのは運営事業者と出店者との間の取引条件です。
エ出店者との取引条件を国が定めた内容に統一し、個別の条件交渉を行わないこと。
誤り。この法律は取引条件の中身を国が決めるものではありません。条件の開示と 自主的な取組を事業者に求め、国は報告を基に評価する「共同規制」の方式です。 国の関与は必要最小限にとどめ、事業者の自主的な改善を促す考え方をとります。
理解を深めるために
巨大な「場」と出店者の力の差を、情報の開示で埋める
大規模なオンラインモールに出店する事業者にとって、運営事業者の 規約変更や検索順位の決め方は売上を大きく左右します。それなのに、ルールの中身や 変更の理由が見えなければ、出店者は対応のしようがありません。この法律(通称 「デジタルプラットフォーム取引透明化法」)は、こうした取引の不透明さを 解消するために2021年2月に施行されました。
法律の仕組み
- 対象 — 経済産業大臣が、売上高などの規模を基準に指定した事業者 (総合物販オンラインモール、デジタル広告の分野。アプリストアは2025年12月施行のスマホ法に移りました)
- 開示 — 出店を拒む基準や検索順位を決める主な事項などの取引条件を開示し、 条件を変更するときは事前に通知する
- 体制整備 — 出店者との相互理解を促す手続や、苦情・紛争を処理する体制を整える
- 報告と評価 — 毎年度、運営状況の報告書を提出し、大臣が評価して公表する
義務に違反すれば勧告や措置命令の対象になり、独占禁止法違反のおそれがあれば 大臣が公正取引委員会に対処を求めます。とはいえ中心は、**事業者の自主的な取組を 国が見守る「共同規制」**です。
混同しやすいものとの違い
| 法律 | 対象と中身 |
|---|---|
| 取引透明化法 | 大規模モール等と出店者の取引条件の開示・運営状況の報告 |
| 情報流通プラットフォーム対処法 | SNS等での権利侵害情報の削除対応・発信者情報開示 |
| 特定商取引法 | 通信販売などの販売業者の広告表示や勧誘方法 |
| 独占禁止法 | 優越的地位の濫用などを排除措置命令・課徴金で規制 |
同じ「プラットフォーム」でも、事業者間の取引条件が論点なら取引透明化法、 投稿の削除が論点なら情報流通プラットフォーム対処法と見分けます。