問題 39★★★

J社では、受注から出荷までに5部門の承認を順に受けるため、納期が競合他社の 2倍かかっている。経営層はBPRに取り組むと決めた。 BPRの考え方に沿った取組みとして、最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア今の承認手順は残し、各部門の担当者が気づいた無駄を少しずつ直していく。

    誤り。これは現場主導の業務改善(カイゼン)です。業務を良くする点は同じですが、 今の手順を土台にして小さな修正を積み重ねます。BPRは土台そのものを 疑う取組みなので、手順を残すと書かれた時点で当てはまりません。

  2. イ今の部門分担や承認手順を前提にせず、受注から出荷までの流れを設計し直す。

    正解。BPRは既存の組織や手順を前提から外し、業務の流れを抜本的に設計し直す 取組みです。5部門の承認が本当に要るのか、というところから考え直します。

  3. ウ今の承認手順は残し、部門間の転記や通知をソフトウェアのロボットに任せる。

    誤り。これはRPAの導入です。作業は速くなりますが、5部門を順に回る流れ そのものは変わりません。自動化するのは手順の中の作業であり、 手順の組み立てを変えるBPRとは対象が違います。

  4. エ5部門の承認の流れをBPMNで図に表し、各部門の作業と順序を全員が確認する。

    誤り。これは業務プロセスの可視化です。BPRを進めるときにも現状把握として 行いますが、図に表しただけでは業務は何も変わりません。 可視化は手段であり、設計し直すところまで進んで初めてBPRになります。

理解を深めるために

リフォームではなく建て替え

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)は、今の組織や手順を前提にせず、 業務の流れを抜本的に設計し直す取組みです。家にたとえると、傷んだ箇所を直す リフォームではなく、間取りから考え直す建て替えにあたります。

設問のJ社は納期が競合の2倍です。承認1回あたりの時間を少し縮めても、 5部門を順に回る構造が残るかぎり差は埋まりません。 構造そのものを変える必要があるときに選ばれるのがBPRです。

何を「前提にしない」のか

  • 部門の分け方(その業務を今の部門が担う必要があるか)
  • 手順と順序(承認は5回要るのか、同時に進められないか)
  • 規則や慣行(昔の事情で残っているだけではないか)

目的は顧客から見た成果、つまり納期・費用・品質を大きく良くすることです。 部門ごとの都合ではなく、受注から出荷までを通した全体で考えます。

今の手順を残すか、作り直すか

取組み 今の手順の扱い
BPR 前提にせず、流れを抜本的に設計し直す
業務改善(カイゼン) 残したまま、小さな修正を積み重ねる
RPA 残したまま、手順の中の作業を自動化する
業務プロセスの可視化 図に表して把握する(変える前の段階)

選択肢に「今の手順は残し」「現行のまま」とあれば、BPRではありません。 「抜本的」「前提にしない」「根本から」という言葉がBPRの目印です。

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