正解:ウ
各選択肢の解説
ア3,000件では回答数が少なすぎて、全体の傾向を推測できない。
誤り。回答数を増やせば、たまたまの散らばり(標本誤差)は小さくなります。 しかし、選ばれ方の偏りは数を増やしても消えません。 3,000件あっても、同じ偏った集め方なら同じように高い満足度が出ます。
イ全数調査ではないので、結果から全体を推測することはできない。
誤り。一部の標本から全体を推測するのが標本調査で、国勢調査のような全数調査以外は すべて意味がない、ということはありません。 問題は全数でないことではなく、標本の選ばれ方にあります。
ウ回答者が継続利用中の人に限られ、不満で解約した人の声が含まれない。
正解。アプリ内のアンケートには、すでに解約した人は答えられません。 満足している人が残りやすいので、集め方そのものが結果を高い方へずらす統計的バイアスです。
エ満足度は順序尺度なので、「満足」の割合を計算することはできない。
誤り。順序尺度では値どうしの差や平均に意味がありませんが、 各段階の人数を数えて割合を出すことはできます。 尺度の性質ではなく、誰に聞いたかが問題です。
理解を深めるために
「答えられる人」だけに聞くと結果はずれる
ある飲食店が、来店中のお客さんに「また来たいですか」と聞けば、高い数値が出るのは当然です。 二度と来ないと決めた人は、そもそも店にいません。 アプリ内アンケートも同じで、解約した人には届きません。 このようにデータの集め方そのものが原因で、結果が一方向にずれることを統計的バイアスと呼びます。
なぜそうなっているのか
- 標本調査は、一部(標本)から全体(母集団)を推測する方法
- 推測が成り立つのは、標本が母集団の縮図になっているとき。単純無作為抽出はそのための方法
- 今回の母集団は「解約者を含む全利用者」だが、標本は「今も使っている人のうち、回答した人」
- 不満を持つ人ほど解約しやすいので、標本は満足している側に偏る
- この偏りは集め方の問題なので、回答数を増やしても直らない
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 中身 | 数を増やすと |
|---|---|---|
| 統計的バイアス | 集め方の偏りで、結果が一方向にずれる | 直らない |
| 標本誤差 | 偶然どの人が選ばれたかによる散らばり | 小さくなる |
| 全数調査 | 母集団の全員を調べる(国勢調査など) | 偏りは出にくいが費用と時間がかかる |
| 順序尺度 | 順序だけに意味がある尺度。人数や割合は数えられる | 関係しない |
「誰に聞いたか」「誰が答えられなかったか」が書かれていたら、統計的バイアスを疑います。 分析する人の思い込みで読み方がずれる認知バイアスとは、ずれの出どころが違います。