問題 48★★★

定額制の動画配信サービスで、アプリ内にアンケートを表示し、3,000件の回答のうち9割が「満足」だった。 この結果を、解約した人も含めた過去の全利用者の満足度とみなすときの問題点として、 最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア3,000件では回答数が少なすぎて、全体の傾向を推測できない。

    誤り。回答数を増やせば、たまたまの散らばり(標本誤差)は小さくなります。 しかし、選ばれ方の偏りは数を増やしても消えません。 3,000件あっても、同じ偏った集め方なら同じように高い満足度が出ます。

  2. イ全数調査ではないので、結果から全体を推測することはできない。

    誤り。一部の標本から全体を推測するのが標本調査で、国勢調査のような全数調査以外は すべて意味がない、ということはありません。 問題は全数でないことではなく、標本の選ばれ方にあります。

  3. ウ回答者が継続利用中の人に限られ、不満で解約した人の声が含まれない。

    正解。アプリ内のアンケートには、すでに解約した人は答えられません。 満足している人が残りやすいので、集め方そのものが結果を高い方へずらす統計的バイアスです。

  4. エ満足度は順序尺度なので、「満足」の割合を計算することはできない。

    誤り。順序尺度では値どうしの差や平均に意味がありませんが、 各段階の人数を数えて割合を出すことはできます。 尺度の性質ではなく、誰に聞いたかが問題です。

理解を深めるために

「答えられる人」だけに聞くと結果はずれる

ある飲食店が、来店中のお客さんに「また来たいですか」と聞けば、高い数値が出るのは当然です。 二度と来ないと決めた人は、そもそも店にいません。 アプリ内アンケートも同じで、解約した人には届きません。 このようにデータの集め方そのものが原因で、結果が一方向にずれることを統計的バイアスと呼びます。

なぜそうなっているのか

  • 標本調査は、一部(標本)から全体(母集団)を推測する方法
  • 推測が成り立つのは、標本が母集団の縮図になっているとき。単純無作為抽出はそのための方法
  • 今回の母集団は「解約者を含む全利用者」だが、標本は「今も使っている人のうち、回答した人」
  • 不満を持つ人ほど解約しやすいので、標本は満足している側に偏る
  • この偏りは集め方の問題なので、回答数を増やしても直らない

混同しやすいものとの違い

考え方 中身 数を増やすと
統計的バイアス 集め方の偏りで、結果が一方向にずれる 直らない
標本誤差 偶然どの人が選ばれたかによる散らばり 小さくなる
全数調査 母集団の全員を調べる(国勢調査など) 偏りは出にくいが費用と時間がかかる
順序尺度 順序だけに意味がある尺度。人数や割合は数えられる 関係しない

「誰に聞いたか」「誰が答えられなかったか」が書かれていたら、統計的バイアスを疑います。 分析する人の思い込みで読み方がずれる認知バイアスとは、ずれの出どころが違います。

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