正解:ア
各選択肢の解説
アどの会員も等しい確率で選ばれるように一部を取り出し、全体の傾向を推測する。
正解。選ぶ基準に人の意図を入れず、乱数だけで決めるのが単純無作為抽出です。 特定の層に寄らない1,000人が集まるため、その結果から5万人全体の傾向を 見積もることができます。
イ対象となる会員全員を漏れなく調べる方法で、国勢調査がその代表例である。
誤り。これは全数調査の説明です。日本に住むすべての人を対象とする国勢調査が 代表例で、精度は高い代わりに費用と時間がかかります。今回は5万人のうち 1,000人だけを対象にしているので、全数調査ではありません。
ウ得られた差が偶然の範囲に収まるかどうかを、確率を使って判断する。
誤り。これは仮説検定の説明です。調査で出た差が意味のある差か、 たまたま出た差かを見極める手順で、データを集め終えた後の分析で使います。 今回問われているのは、誰に聞くかを決める段階の話です。
エ調査に協力してくれる会員を選んで依頼し、回答の回収率を高める。
誤り。協力的な人だけに聞くと、もともと好意的な会員の声が集まりやすくなり、 標本が会員全体の姿からずれます(統計的バイアス)。無作為抽出は、 選ぶ人を意図で決めないことでこの偏りを防ぐ方法です。
理解を深めるために
味見はスプーン1杯でよい
鍋いっぱいのスープの味を確かめるのに、全部飲む必要はありません。よくかき混ぜてから スプーン1杯すくえば、鍋全体の味が分かります。調査も同じで、 よく混ざった状態から一部を取り出せば全体を推測できるというのが標本抽出の考え方です。
大事なのは「よくかき混ぜる」に当たる部分です。鍋の表面の脂だけをすくえば 全体の味は分かりません。乱数で選ぶ単純無作為抽出は、このかき混ぜを保証する方法です。
全数調査と標本調査
| 方法 | 中身 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 全数調査 | 対象すべてを調べる(国勢調査) | 対象が少ない、正確な実数が要る |
| 標本抽出 | 一部を選んで全体を推測する | 対象が多く、費用や時間の制約がある |
| 単純無作為抽出 | 全員が等しい確率で選ばれる選び方 | 標本の偏りを避けたいとき |
| 仮説検定 | 差が偶然かを確率で判断する | 集めたデータを分析するとき |
選び方を誤るとどうなるか
調査対象の選び方に人の都合が入ると、集まったデータは母集団の姿からずれます。 これが統計的バイアスです。回収率を上げたいからと協力的な人を選ぶ、 店頭に来た人だけに聞く、といった選び方はいずれも偏りを生みます。
試験では「誰をどうやって選んだか」に注目します。 乱数や名簿からの機械的な抽出なら無作為抽出、選ぶ側の判断が入っていれば偏りを疑う、 という見方で判別できます。