正解:ウ
各選択肢の解説
ア規程に「利用者IDの棚卸しを四半期ごとに行う」と定められていること。
誤り。規程があることは、ルールが整備されている証拠にはなります。 しかし確かめたいのは、そのルールどおりに実際に棚卸しが行われているかという運用の状況です。 決まりがあることと、守られていることは別です。
イ棚卸しの担当者が、質問に対して「毎回欠かさず実施している」と答えた内容。
誤り。担当者への質問は監査の手続として正当ですが、本人の回答だけでは裏付けになりません。 回答を手がかりに、実際の記録と照らし合わせて初めて結論を支えられる証拠になります。
ウ各四半期の棚卸し結果の記録と、その記録に残る実施日や承認者の記載。
正解。実施日や承認者が残った記録は、四半期ごとに棚卸しが実際に行われたことを 直接示します。本調査では、このように結論を裏付ける監査証拠を十分かつ適切に集めます。
エ予備調査で得た「棚卸しが遅れているかもしれない」という監査人の見当。
誤り。予備調査の見当は、本調査で何を重点的に確かめるかを決めるための仮説です。 見当そのものは証拠ではなく、本調査で記録を確かめて初めて結論につながります。
理解を深めるために
「言っている」ではなく「残っている」を集める
健康診断で「毎日運動しています」と申告しても、それだけでは健康の証明になりません。 体重や血圧の記録を見て、初めて本当かどうかが分かります。
システム監査の本調査も同じです。監査人は、規程や説明を入口にしながらも、 最後は「実際にそうなっている」ことを示す記録で結論を支えます。 結論の裏付けになるものを監査証拠と呼びます。
本調査で集める監査証拠
システム監査基準は、監査人が監査の結論を裏付けるのに十分かつ適切な監査証拠を 入手し、評価することを求めています。
- 十分: 結論を出すのに足りる量がある(1回分だけでなく各四半期分)
- 適切: 確かめたい事項に合っていて、信頼できる(実施日や承認者が残っている)
設問で確かめたいのは「四半期ごとに行われているか」という運用の状況です。 そのため、各回の実施記録が最もふさわしい証拠になります。
混同しやすいものとの違い
| 候補 | 何を示すか |
|---|---|
| 各四半期の実施記録 | ルールどおりに運用されていること |
| 規程の定め | ルールが整備されていること(運用までは示さない) |
| 担当者の回答 | 本人の説明。記録と照らし合わせて裏付けが要る |
| 予備調査の見当 | 本調査で重点を置く箇所を決める仮説 |
試験では「規程がある」「担当者がそう言った」を証拠として選ばせる誤答がよく置かれます。 確かめたい事項を直接示す記録かどうかで見分けてください。