正解:エ
各選択肢の解説
ア金融商品取引法に基づく有価証券報告書
誤り。金融商品取引法が上場企業などに提出を義務づける書類で、法定開示の中心です。 事業年度終了後3か月以内に提出し、財務諸表は公認会計士または監査法人の監査を受けます。
イ証券取引所の規則に基づく決算短信
誤り。法律ではなく証券取引所の適時開示の規則に基づく開示ですが、上場企業には開示が求められます。 「法律が根拠でない=任意」と考えると間違えやすい選択肢です。
ウ金融商品取引法に基づく臨時報告書
誤り。合併や代表者の異動、災害による重大な損害など、投資判断に影響する出来事が起きたときに 遅滞なく提出が求められる法定開示です。定期的に出すものではない点で有価証券報告書と違います。
エ財務と非財務の情報をまとめた統合報告書
正解。財務情報に加えて人材や環境などの非財務情報を合わせ、中長期の価値創造を説明する資料です。 作るかどうかも様式も企業に委ねられた任意の開示です。
理解を深めるために
ディスクロージャーは「会社の中身を外に見せること」
**ディスクロージャー(情報開示)**とは、企業が投資家や取引先などの利害関係者に向けて、 経営の状況や財務の内容を公開することです。外部の人は会社の中を直接のぞけません。 会社の側が情報を出さなければ、株を買うべきか、取引を続けてよいかを判断できないため、 開示が求められます。
義務の開示と任意の開示
上場企業の開示は、根拠によって大きく3つに分けられます。
- 法定開示:金融商品取引法や会社法が義務づける開示(有価証券報告書、臨時報告書など)
- 適時開示:証券取引所の規則が求める開示(決算短信など)
- 任意開示:企業が自主的に行う開示(統合報告書、決算説明会の資料など)
適時開示は法律ではなく取引所のルールが根拠ですが、上場している以上は従う必要があります。 「義務かどうか」と「法律が根拠かどうか」は別の問いだという点が、つまずきやすいところです。
混同しやすいものとの違い
| 開示 | 根拠 | 義務か |
|---|---|---|
| 有価証券報告書 | 金融商品取引法(定期) | 義務 |
| 臨時報告書 | 金融商品取引法(出来事の発生時) | 義務 |
| 決算短信 | 証券取引所の規則 | 上場企業には求められる |
| 統合報告書 | なし(企業の判断) | 任意 |
試験では、書類名とその根拠を結びつけて問われます。法律名か取引所の規則が付いていれば義務、 どちらも付かず企業が自主的に作る資料なら任意開示と見分けましょう。