正解:エ
各選択肢の解説
ア契約書の作成者が、名義人本人であること。
誤り。これはデジタル署名で確かめることです。どちらも電子文書の信頼性を 支える技術なので一緒に語られがちですが、署名は「誰が」、タイムスタンプは 「いつ」を証明します。タイムスタンプだけでは作成者は特定できません。
イ契約書の内容が、第三者に読まれていないこと。
誤り。第三者に読まれないようにするのは暗号化の役割で、守っているのは 機密性です。タイムスタンプは文書の中身を隠しません。付与された後も、 ファイルを開ける人なら誰でも内容を読めます。
ウ契約書に書かれた内容が、事実として正しいこと。
誤り。時刻認証局が確認するのは文書のハッシュ値と時刻だけで、中身が 真実かどうかは審査しません。誤った内容の文書にも付与できるため、 「公的機関のお墨付き」と受け取るのは典型的な誤解です。
エ契約書がその時刻に存在し、以後改ざんされていないこと。
正解。タイムスタンプは「その時刻にこの文書があった」という存在証明と、 「その後に書き換えられていない」という完全性の証明を、第三者の立場で 与えるものです。
理解を深めるために
電子文書に押す「確定日付」のスタンプ
紙の契約書なら、公証役場で確定日付を押してもらうと「この日には確かにこの書類があった」と 示せます。電子ファイルは簡単に書き換えられ、ファイルの更新日時も手元で変えられるため、 同じことを第三者に証明してもらう仕組みが要ります。それが**タイムスタンプ(時刻認証)**です。
仕組み
- 利用者は、文書そのものではなく文書のハッシュ値を時刻認証局(TSA)に送る
- 時刻認証局は、そのハッシュ値に正確な時刻を結び付け、自らの署名を付けて返す
- 後で検証するときは、手元の文書からハッシュ値を計算し直し、スタンプの中の値と比べる
一致すれば「その時刻に存在した」(存在証明)と「その後に変わっていない」(非改ざん証明)の 2点が示せます。1文字でも書き換えるとハッシュ値が変わるので一致しなくなります。 時刻認証局が中身を受け取らないため、内容の正しさは審査の対象外です。
混同しやすいものとの違い
| 技術 | 証明・保護するもの |
|---|---|
| タイムスタンプ | いつ存在したか、以後改ざんされていないか |
| デジタル署名 | 誰が作成したか、改ざんされていないか |
| 暗号化 | 第三者に内容を読まれないこと(機密性) |
デジタル署名とタイムスタンプは組み合わせて使われることが多く、署名で「誰が」、 タイムスタンプで「いつ」を補います。試験では「作成者」「時刻」「中身を隠す」の どれを問われているかで見分けます。