問題 12★★☆

C社の経理担当者あてに、取引先の担当者名で「振込先の銀行口座を変更した」という メールが届いた。文面は進行中の取引の内容に沿っており、署名もいつもどおりだった ため、担当者は指定された口座へ支払を実行した。後日、取引先は口座を変更して いないと判明した。この手口として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア偽のWebサイトへ誘導し、IDやパスワードを入力させるフィッシング

    誤り。フィッシングがだまし取るのは認証情報で、そのために偽サイトへ 誘導します。この例では偽サイトも入力画面も登場せず、担当者は普段どおりの 手続きで送金しています。奪われたのが情報か金銭かで区別します。

  2. イマルウェアに感染させ、組織から機密情報を盗み出す標的型攻撃

    誤り。特定の組織を狙って文面を作り込む点は共通しますが、標的型攻撃は 添付ファイルなどで感染させ、情報を持ち出すところまでを行います。 この例では感染が起きておらず、目的も情報ではなく金銭です。

  3. ウファイルを暗号化し、復旧と引換えに金銭を要求するランサムウェア

    誤り。金銭が目的である点は共通しますが、ランサムウェアは業務を止めて 支払を迫ります。この例ではファイルも業務も無事なまま、 担当者が自分で振り込んでいます。被害の現れ方が逆です。

  4. エ実在する関係者になりすましたメールで、金銭をだまし取るビジネスメール詐欺

    正解。取引先や自社の経営者になりすまし、送金の権限をもつ担当者に 偽の口座へ振り込ませる手口です。マルウェアを使わず文面だけで成立するため、 ウイルス対策ソフトには引っかかりません。

理解を深めるために

ウイルスを使わない、メールだけの詐欺

**ビジネスメール詐欺(BEC)**は、取引先の担当者や自社の経営者になりすました メールを送り、送金の権限をもつ担当者に偽の口座へ振り込ませる手口です。 英語の Business E-mail Compromise の略で、狙いは最初から金銭にあります。

特徴は、不正なプログラムをいっさい使わないことです。届くのは普通のメール本文 だけなので、添付ファイルを検査するウイルス対策ソフトも、不審なリンクを遮断する 仕組みも反応しません。防いでいるつもりの技術を、すべて素通りします。

信じ込ませるための下準備

  • 取引先や社内のメールをあらかじめのぞき見て、進行中の案件や文体を把握する
  • 実在の担当者名や署名をそのまま流用し、差出人アドレスを1文字だけ変える
  • 「今日中に」「社外秘なので上司には確認しないでほしい」と急がせ、確認をさせない

対策も技術より手順です。口座変更の連絡を受けたら、メールに書かれた連絡先ではなく 以前から登録している電話番号にかけ直して確かめる。一定額以上の送金は複数人の 承認を必須にする。この2つで大半が止まります。

似た手口との違い

手口 狙いと手段
ビジネスメール詐欺(BEC) 金銭の送金。なりすましメールの文面だけで成立
フィッシング 認証情報。偽サイトへ誘導して入力させる
標的型攻撃 機密情報。マルウェアに感染させて盗み出す
ランサムウェア 金銭。ファイルを暗号化して復旧と引き換えに要求

試験では「請求書」「振込先の変更」「経営者からの至急の指示」が出てきたら BECを疑います。マルウェアが登場しないのに金銭被害が出るのが見分け方です。

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