正解:ウ
各選択肢の解説
ア共有フォルダは誰でも開ける設定で、持ち出しても記録が残らないと知っていた。
誤り。これは「機会」に当たります。実行できてしまい、しかも発覚しにくいという 環境の条件を述べたものです。本人の気持ちではなく、周囲の状態を説明している点で 正当化とは区別されます。
イ成果に見合う評価が得られず、家族の生活費の工面にも行き詰まっていた。
誤り。これは「動機」に当たります。不満や金銭的な困窮など、不正に踏み出す力に なる事情です。正当化は踏み出す前に良心を黙らせる理屈であり、 動機は行動へ向かわせる圧力だと分けて覚えます。
ウ会社が自分を正当に扱わないのだから、この程度は当然の報いだと考えた。
正解。正当化は、自分の行為に都合のよい理屈をつけて罪悪感を打ち消す心の働きです。 「当然の報い」「借りているだけ」といった言い換えが典型で、 これがそろうと最後の歯止めが外れます。
エ情報を持ち出せば懲戒解雇になると、就業規則にはっきり定められていた。
誤り。これは不正を思いとどまらせる抑止策であって、3要素のどれにも当たりません。 規則の存在は正当化を成り立ちにくくする側の条件です。 不正を生む条件と、防ぐための仕組みを混同しないようにします。
理解を深めるために
最後の歯止めを外す理屈
不正のトライアングルは、不正が「動機」「機会」「正当化」の3つがそろったときに 起きるという考え方です。このうち正当化は、行動の直前に本人の中で起こる 自己説得を指します。
多くの人は、やれる状況があり事情があっても、後ろめたさが邪魔をして踏み出せません。 その後ろめたさを「自分は悪くない」と言い換えて消してしまうのが正当化です。
- 「働きに見合う給料をもらっていないのだから、この分は当然だ」
- 「借りるだけで、いずれ返すつもりだ」
- 「みんなやっている。自分だけが責められるのはおかしい」
3要素の見分け方
| 要素 | 何についての記述か | 発言の型 |
|---|---|---|
| 動機 | 本人が置かれた事情(圧力) | 「困っていた」「不満だった」 |
| 機会 | 周囲の環境・仕組みの状態 | 「誰でもできた」「記録が残らない」 |
| 正当化 | 本人の心の中の言い訳 | 「当然だ」「悪くない」 |
動機と正当化はどちらも本人の内側の話なので混同しがちです。 行動へ向かわせる圧力が動機、行動を許してしまう理屈が正当化と切り分けます。
組織にできること
正当化は心の中の話ですが、組織も手を打てます。行動規範を明文化して 「何が不正に当たるか」をはっきりさせ、教育で繰り返し確認し、 処遇や評価への不満を相談できる窓口を用意することです。
言い訳を成り立ちにくくすれば、3要素の1つが欠けます。 試験では、その記述が事情・環境・言い訳のどれを述べているかで判断します。 どれにも当てはまらないなら、3要素ではなく対策の話をしています。