問題 10★★★

Aさんはおすすめ表示を使わず、自分でフォローした技術者の投稿だけを時系列で読んでいる。 そこでは「今月のOSの修正プログラムは不具合が多く、当てないほうがよい」という意見ばかりが流れ、 Aさんは適用の見送りを部門に提案しようとしている。Aさんへの助言として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア閲覧履歴を消去し、アプリが表示する投稿の偏りをいったん元に戻してから判断する。

    誤り。これはアルゴリズムが履歴から表示を選ぶフィルターバブルへの対策です。 Aさんはおすすめ表示を使わず、自分で選んだ相手の投稿だけを読んでいるので、 偏りの原因は履歴ではなくフォローの選び方にあります。履歴を消しても同じ投稿が流れます。

  2. イ同じ意見の投稿が多数あることを根拠として示し、適用の見送りを部門に提案する。

    誤り。考えの近い人だけをフォローしていれば、同じ意見が多いのは当然です。 その多さは、意見が正しい裏づけではなく、エコーチェンバーの中にいることの表れです。 見送れば、修正される脆弱性が残り続けます。

  3. ウ提供元の公式情報や異なる立場の意見にも当たり、そのうえで適用の可否を判断する。

    正解。自分で選んだ相手の間で同じ意見が反響するのがエコーチェンバーです。 輪の外の情報、とくに不具合の有無を知る提供元の情報に当たって初めて、偏りを補えます。

  4. エ反対の意見を述べる投稿をミュートし、議論が混乱しないようにしてから判断する。

    誤り。ミュートやブロックは見たくない投稿を自分で遠ざける操作で、すでに偏っている 輪をさらに狭めます。混乱を避けたつもりで、判断の材料から反対の根拠を消すことになり、 エコーチェンバーを強めます。

理解を深めるために

同じ意見ばかりなのは、自分で選んだ輪の中にいるから

反響する部屋(echo chamber)の中で話すと、自分の声が四方から返ってきて、 大勢が同じことを言っているように聞こえます。SNSでも、考えの近い人だけを フォローしていると、同じ意見が繰り返し届き、「みんなそう言っている」と確信が強まります。 これがエコーチェンバーです。

Aさんの場面で偏りを生んでいるのは、アプリではなくAさん自身のフォローの選び方です。 おすすめ表示を使っていない、という条件がその手がかりです。

なぜ輪の外の情報に当たるのか

  • 原因に合った対策をとる: 偏りの原因が自分の選択なら、選ぶ範囲を広げるしかない。 履歴の消去はアルゴリズムが原因のときの対策で、ここでは効かない
  • 一番確かな情報源を加える: 修正プログラムの不具合の有無と回避策は、提供元が公表する。 技術者の意見はその後で比べる材料になる
  • 組織の判断に持ち込まない: 担当者の偏った確信がそのまま部門の判断になると、 修正される脆弱性を残すことになる。提案の前に偏りを補う

混同しやすいものとの違い

用語・操作 何が情報を絞っているか
エコーチェンバー 自分で選んだ同じ考えの相手の間で、意見が反響する
フィルターバブル アルゴリズムが閲覧履歴から表示を選び、ほかの情報から隔てる
ミュート・ブロック 見たくない投稿を自分で遠ざける操作。輪をさらに狭める
確証バイアス 自分の考えに合う情報ばかりを重く見る心の傾き。エコーチェンバーを強める

実際にはエコーチェンバーとフィルターバブルが同時に起きることも多いので、 試験では場面の条件(おすすめ表示の有無、誰が相手を選んだか)から、どちらへの対策が効くかを見分けます。

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