問題 15★★★

人事部から、人事評価データを扱う新システムの運用を情報システム部門が引き受けることになった。 人事部とSLAを結ぶにあたり、目標値を決める前に情報システム部門が行うこととして、 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア社内の他のシステムで使っている目標値を、そのまま新システムにも当てはめる。

    誤り。業務ごとに必要な稼働時間帯や止まったときの影響は違います。人事評価データなら 見られる人の範囲などの要件も重くなります。他のシステムの値を写すと、人事部が 本当に必要とする水準とずれたまま約束することになります。

  2. イ稼働時間帯、復旧までの許容時間、閲覧できる者の範囲などを人事部と確認し、文書にする。

    正解。サービスの要求事項を顧客と明確にする活動です。顧客が何を必要としているかを 先に確かめて文書にしておくと、SLAの目標値をその要求に合わせて決められます。

  3. ウ運用を3か月続けて実績を集め、その実績で達成できる値をSLAの目標にする。

    誤り。実績から目標を決めると、提供者が出せる水準を約束するだけになります。 人事部の業務に必要な水準を満たすかどうかは確かめていません。実績は、要求を満たせるかを 判断する材料として使うものです。

  4. エ今の要員と設備で確実に守れる値を、提供者として先に決めて人事部に知らせる。

    誤り。SLAは提供者と顧客の合意なので、提供者が一方的に決めて知らせるものではありません。 提供者の能力を考えるのは必要ですが、その前に顧客の要求を確かめないと、 能力が足りないのかどうかも判断できません。

理解を深めるために

約束の中身は、相手の困りごとから決める

仕出し弁当を受注するとき、まず「何時に、何人分、アレルギーの人はいるか」を聞きます。 店の都合で量や時間を決めてから届けても、相手の会合に合わなければ意味がありません。 ITサービスも同じで、SLAの目標値は、顧客が何を必要としているか(サービスの要求事項)を 確かめてから決めるのが順序です。

なぜ先に要求事項を確かめるのか

サービスの要求事項は、顧客がそのサービスに求める条件です。今回の場面なら、たとえば次のものです。

  • いつ使えればよいか(評価の時期は夜間も使うか、など)
  • 止まったとき、何時間までなら業務を待てるか
  • 人事評価データを見てよいのは誰か、記録をどれだけ残すか

これを人事部と確かめて文書にしておくと、SLAの目標値を要求に合わせて決められます。 提供者の能力で満たせない要求があれば、そこで初めて設備の増強や、要求の調整を人事部と話し合えます。 要求が後から変わったときも、文書と比べれば何が変わったかがわかります。

混同しやすいものとの違い

やり方 目標の出どころ 問題点
要求事項を顧客と確かめて文書にする 顧客の業務に必要な水準 (SLAの土台になる)
他システムの値を当てはめる 別の業務の水準 人事部の要求と合う保証がない
運用実績から決める 提供者が出せた水準 必要な水準かを確かめていない
提供者が先に決めて通知する 提供者の能力 合意になっていない

「目標値の出どころが顧客の要求か、提供者の都合か」を見ると、選択肢を見分けられます。

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