正解:イ
各選択肢の解説
ア社内の他のシステムで使っている目標値を、そのまま新システムにも当てはめる。
誤り。業務ごとに必要な稼働時間帯や止まったときの影響は違います。人事評価データなら 見られる人の範囲などの要件も重くなります。他のシステムの値を写すと、人事部が 本当に必要とする水準とずれたまま約束することになります。
イ稼働時間帯、復旧までの許容時間、閲覧できる者の範囲などを人事部と確認し、文書にする。
正解。サービスの要求事項を顧客と明確にする活動です。顧客が何を必要としているかを 先に確かめて文書にしておくと、SLAの目標値をその要求に合わせて決められます。
ウ運用を3か月続けて実績を集め、その実績で達成できる値をSLAの目標にする。
誤り。実績から目標を決めると、提供者が出せる水準を約束するだけになります。 人事部の業務に必要な水準を満たすかどうかは確かめていません。実績は、要求を満たせるかを 判断する材料として使うものです。
エ今の要員と設備で確実に守れる値を、提供者として先に決めて人事部に知らせる。
誤り。SLAは提供者と顧客の合意なので、提供者が一方的に決めて知らせるものではありません。 提供者の能力を考えるのは必要ですが、その前に顧客の要求を確かめないと、 能力が足りないのかどうかも判断できません。
理解を深めるために
約束の中身は、相手の困りごとから決める
仕出し弁当を受注するとき、まず「何時に、何人分、アレルギーの人はいるか」を聞きます。 店の都合で量や時間を決めてから届けても、相手の会合に合わなければ意味がありません。 ITサービスも同じで、SLAの目標値は、顧客が何を必要としているか(サービスの要求事項)を 確かめてから決めるのが順序です。
なぜ先に要求事項を確かめるのか
サービスの要求事項は、顧客がそのサービスに求める条件です。今回の場面なら、たとえば次のものです。
- いつ使えればよいか(評価の時期は夜間も使うか、など)
- 止まったとき、何時間までなら業務を待てるか
- 人事評価データを見てよいのは誰か、記録をどれだけ残すか
これを人事部と確かめて文書にしておくと、SLAの目標値を要求に合わせて決められます。 提供者の能力で満たせない要求があれば、そこで初めて設備の増強や、要求の調整を人事部と話し合えます。 要求が後から変わったときも、文書と比べれば何が変わったかがわかります。
混同しやすいものとの違い
| やり方 | 目標の出どころ | 問題点 |
|---|---|---|
| 要求事項を顧客と確かめて文書にする | 顧客の業務に必要な水準 | (SLAの土台になる) |
| 他システムの値を当てはめる | 別の業務の水準 | 人事部の要求と合う保証がない |
| 運用実績から決める | 提供者が出せた水準 | 必要な水準かを確かめていない |
| 提供者が先に決めて通知する | 提供者の能力 | 合意になっていない |
「目標値の出どころが顧客の要求か、提供者の都合か」を見ると、選択肢を見分けられます。