正解:ウ
各選択肢の解説
ア本社データセンタ内のサーバをホットスタンバイ構成にし、障害時に待機系へすぐ切り替えられるようにする。
誤り。ホットスタンバイは、待機系を同じ状態で動かしておき、本番系の故障時に すぐ切り替える構成です。機器の故障には強いですが、待機系も同じデータセンタに あるので、建物ごと使えなくなる今回の想定では両方とも止まります。
イ稼働率の実績を毎月測り、目標を下回った月には停止の原因を調べて対策を取る。
誤り。これはサービス可用性管理の活動です。どちらもサービスを使える状態に保つ 目的なので混同しやすいですが、可用性管理は日常的に起こりやすい機器障害などに 着目します。拠点全体が失われる災害への備えは、サービス継続管理で扱います。
ウ代替拠点での再開手順や再開までの目標時間をサービス継続計画に定め、定期的に試験して見直す。
正解。災害などで通常の提供場所が使えない事態に備えるのがサービス継続管理です。 計画を作るだけでなく、定めた間隔で試験し、不備を直しておくことで、 合意した時間内の再開に実効性が出ます。
エ停止が起きたらサービスデスクが受け付けて記録し、技術担当へエスカレーションする手順を整える。
誤り。これはインシデント管理の手順です。日々の障害対応には欠かせませんが、 データセンタ全体が使えないときは、受け付けて引き継いでも復旧させる場所が ありません。代替拠点で再開する段取りは、事前に計画しておく必要があります。
理解を深めるために
「故障」への備えと「場所ごと失う」への備え
サービスを止めないための活動は二つに分かれます。日常的に起こりうる機器の故障などに 備えて可用性を保つサービス可用性管理と、災害のように個別の対策では防ぎきれず、 サービス全体に大きな影響が出る事態に備えるサービス継続管理です。 今回の想定は「データセンタ全体が使えない」なので、後者の出番です。
サービス継続計画に何を書くか
JIS Q 20000-1:2020 のサービス継続管理では、サービス継続計画に次の事項を含めるか 参照することが求められています。
- 計画を発動する基準と責任
- 重大なサービスの停止の場合に実施する手順
- 計画発動時のサービス可用性の目標と、サービス復旧の要求事項
- 平常業務の状態に戻るための手順
あわせて、計画と連絡先一覧を通常の提供場所が使えなくても参照できるようにしておくこと、 あらかじめ定めた間隔で計画を試験し、結果を記録してレビューすることも求められます。 代替拠点の機器を常に動かしておくか(ホットスタンバイ)、停止した状態で用意して 発動時に立ち上げるか(コールドスタンバイ)は、合意した再開までの時間と費用を 比べて計画の中で決めることです。
混同しやすいものとの違い
| 取組み | 備える事態 |
|---|---|
| サービス継続計画 | 災害などで通常の提供場所ごと使えない事態 |
| サービス可用性管理 | 日常的に起こりやすい機器障害などによる可用性の低下 |
| 同一拠点のホットスタンバイ | 本番系の機器の故障(拠点の喪失には効かない) |
| インシデント管理 | 個々のサービスの中断への対処 |
試験では、何が失われる想定なのか(機器1台か、拠点全体か)を読み取り、 それに効く備えを選びます。