問題 29★★★

ある物流会社の経営者は「5年後に、配送データを生かした物流最適化サービスを 荷主に提供する企業になる」というDXビジョンを社内外に示した。 次に策定するDX戦略の内容として、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. アどの事業にデジタル投資を配分し、必要な人材と体制をどう整えるかを定める。

    正解。DX戦略は、ビジョンという到達点に向かうための道筋です。 投資の配分、人材と体制、進める順序を決めることで、 ビジョンが実行できる計画になります。

  2. イ目指す姿を社員が共感できる短い標語に言い換え、各拠点に掲示する。

    誤り。ビジョンを浸透させる活動で、中身はまだ「どこへ向かうか」のままです。 ビジョンの言い換えは戦略に見えやすいのですが、 「どうやってたどり着くか」が何も決まっていません。

  3. ウ配車システムに実装する画面や帳票などの機能を、漏れなく一覧にまとめる。

    誤り。個別のシステムを作る段階で行う要件定義です。 DXの取組みの一部ですが、戦略が決まった後に行う下流の作業で、 全社として何に投資するかを決めるものではありません。

  4. エ新しい配車システムの開発スケジュールと開発費用の見積りを取りまとめる。

    誤り。個別のシステムについて開発の範囲・日程・費用を決めるシステム化計画です。 戦略を受けて具体的な案件に落とし込む段階の作業で、 事業全体の方向づけより後に来ます。

理解を深めるために

ビジョンは「行き先」、戦略は「ルート」

旅行にたとえると、DXビジョンは「どこへ行くか」、DX戦略は「どう行くか」です。 行き先だけ決めても、交通手段や予算、誰が運転するかが決まらなければ出発できません。 物流最適化サービスという行き先に向けて、何にお金を使い、 誰がどんな体制で動くかを決めるのがDX戦略です。

DXを進める順序

  • DXビジョン:DXで何を実現したいか、将来の目指す姿を示す
  • DX戦略:ビジョンの実現に向けて、投資の配分、人材・体制、進め方を定める
  • 個別の施策:戦略を受けて、システム化計画や要件定義などに落とし込む
  • 評価と見直し:成果を測り、企業価値の向上につながっているかを確かめる

上の段で決めたことが下の段の前提になります。 順序を飛ばすと、システムはできても事業が変わらない、という結果になりがちです。

混同しやすいものとの違い

用語 決めること
DX戦略 ビジョンに向けた投資・人材・体制・進め方
DXビジョン DXで目指す将来の姿
システム化計画 個別システムの範囲・日程・費用
要件定義 システムに実装する機能・性能

試験では「全社の方向づけか、個別システムの話か」をまず切り分けます。 全社の話のうち、到達点を示すのがビジョン、道筋を示すのが戦略です。

前の問題へ次の問題へ