問題 43★★☆

家電を企画・販売するA社は自社工場をもたず、製品の製造をすべて外部の企業に 委託している。このようなファブレスの形態をとることでA社が得られる利点として、 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア製造工程を自社で管理できるので、生産のノウハウが社内に蓄積される。

    誤り。これは企画から製造までを自社で抱える垂直統合型の利点です。 ファブレスは製造を外に出すので、むしろ生産のノウハウは社内に残りにくく なります。工場を自社でもつかどうかで、得るものと手放すものが逆になります。

  2. イ生産設備への投資を抑え、企画や開発に経営資源を集中できる。

    正解。工場の建設や設備の更新には多額の資金がかかります。それを製造委託先に 任せることで、自社は製品の企画・設計や販売といった得意分野にお金と人を 振り向けられます。

  3. ウ他社ブランドの製品の製造を引き受け、自社工場の稼働率を高められる。

    誤り。これはOEMで製造を受託する側の利点です。どちらも「つくる会社」と 「売る会社」が分かれる点で似ていますが、受託する側は工場をもっています。 A社は工場をもたない側なので、この利点はそもそも成り立ちません。

  4. エ製造を外部に頼らないので、委託先の事情で生産が止まる心配がない。

    誤り。これはファブレスの利点ではなく、逆に弱点の裏返しです。製造を 委託先に依存するため、委託先の被災や生産能力の不足で供給が滞るリスクを 抱えます。利点と弱点をセットで覚えると取り違えません。

理解を深めるために

工場をもたない「頭脳だけの会社」

ファブレスは「fab(工場)が less(ない)」という意味です。たとえば、 レシピと店のブランドだけを考え、料理は提携先のセントラルキッチンに つくってもらう飲食チェーンを想像してください。厨房設備にお金をかけない分、 メニュー開発や店づくりに力を注げます。これがファブレスの発想です。

なぜ工場を手放すのか

  • 工場の建設や設備の更新には多額の投資がかかり、需要が落ちると重荷になる
  • 製造を委託すれば、需要の変化に合わせて委託量や委託先を調整しやすい
  • 浮いた資金と人材を、企画・設計・販売といった付加価値の高い工程に回せる

一方で、製造を他社に依存するので、委託先の生産トラブルが自社の供給に 直結します。生産技術のノウハウも社内にたまりにくくなります。 **利点は「身軽さ」、弱点は「依存」**と押さえておくと整理しやすくなります。

混同しやすいものとの違い

形態 自社工場 主な利点
ファブレス もたない 設備投資を抑え、企画・開発に集中できる
OEM(受託する側) もつ 他社ブランド品も製造し、稼働率を高められる
垂直統合 もつ 製造工程を自ら管理し、ノウハウを蓄積できる

試験では「工場をもつのはどちらか」で見分けられます。ファブレス企業が製造を 委託する先が、OEMやEMSとして製造を引き受ける企業だという関係もあわせて 押さえておきましょう。

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