問題 11★★☆

製造業のA社の従業員が、自社の製品検査データが改ざんされていることに気付き、社内の 通報窓口に通報した。通報したことを理由に、この従業員が解雇や降格などの不利益な 取扱いを受けることを禁じている法律はどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア不正競争防止法

    誤り。営業秘密の不正な取得・使用・開示などを不正競争として規制する法律です。 通報の内容が社外秘に見えるため混同しがちですが、この法律が守るのは企業の 秘密情報であって、通報した人の立場ではありません。

  2. イ労働契約法

    誤り。労働契約の成立や変更、合理的な理由を欠く解雇は無効とするルールなどを 定める民事的な法律です。解雇一般の歯止めにはなりますが、通報を理由とする 不利益な取扱いを名指しで禁じる法律ではありません。

  3. ウ個人情報保護法

    誤り。生存する個人に関する情報の適正な取扱いを事業者に求める法律です。通報 窓口で受け取った情報の管理には関わりますが、通報した本人の雇用上の立場を 守る規定を置いているのはこの法律ではありません。

  4. エ公益通報者保護法

    正解。組織内部の法令違反を通報した労働者を、解雇や降格、減給といった不利益な 取扱いから守る法律です。通報を理由とする解雇は無効とされ、不正に気付いた人が 声を上げやすくなります。

理解を深めるために

声を上げた人が損をしない仕組み

組織の中の不正に最初に気付くのは、多くの場合その組織で働いている人です。しかし 「通報したら自分の立場が危うくなる」と思えば、誰も言い出せません。そこで、通報した 労働者を組織からの報復から守るのが公益通報者保護法です。

何がどこまで守られるのか

  • 通報したことを理由とする解雇は無効
  • 降格、減給、不利益な配置転換なども禁止
  • 派遣労働者について、通報を理由に派遣契約を解除することも無効

保護の対象は、その組織で働く労働者です。正社員だけでなく、パートタイム労働者、 アルバイト、派遣労働者なども含まれます。また、常時使用する従業員が300人を超える 事業者には、内部通報を受け付けて適切に対応するための体制の整備が義務付けられています。

混同しやすいものとの違い

法律 何を守るか
公益通報者保護法 不正を通報した労働者の立場(解雇等からの保護)
不正競争防止法 企業の営業秘密など、事業活動上の利益
労働契約法 労働契約の内容と、解雇一般の合理性
個人情報保護法 生存する個人に関する情報の適正な取扱い

問題文に「通報したことを理由に」という条件があれば公益通報者保護法です。守る対象が 情報そのものなのか、通報した人なのかで読み分けます。

前の問題へ次の問題へ