問題 11★★★

飲料メーカー、卸売業者、小売チェーンの3社は、それぞれが自社の見込みで生産や発注を増やした結果、 流通の各段階に在庫が積み上がった。3社で販売と在庫の情報を共有し、原材料の調達から店頭での販売までの 流れ全体で在庫と欠品を減らしたい。この取組みとして最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. アEDI。企業間で取り決めた形式の取引データを、システム間で直接やり取りする。

    誤り。EDIは、受発注や請求などのデータを決まった形式で企業のシステム間でやり取りする仕組みです。 企業をまたいで情報を渡す点が共通するため迷いますが、EDIは情報を「どう送るか」という手段です。 流れ全体で在庫を最適化する取組みそのものはSCMで、EDIはそれを支える道具の一つです。

  2. イ物流情報システム。商品の輸送・保管・配送を管理し、モノの移動を効率化する。

    誤り。物流情報システムは、倉庫の入出庫や配送の手配、輸送状況の把握など、モノを運ぶ・置く業務を 管理する仕組みです。在庫を扱うため近く見えますが、3社の生産量や発注量をそろえて 作りすぎ・仕入れすぎを防ぐことまでは担いません。

  3. ウSCM。調達から生産・物流・販売までの流れを、取引先を含めて全体で最適化する。

    正解。SCMは、各社がばらばらに判断して生じる過剰在庫や欠品を、販売や在庫の情報を企業間で共有して 防ぐ取組みです。1社ごとの最適ではなく、供給の流れ全体の最適を目指します。

  4. エ購買管理システム。仕入先への発注から、入荷・検収・支払までを管理する。

    誤り。購買管理システムは、自社が必要な物品を仕入れる手続を管理する仕組みです。 発注を扱うため在庫過多と関係がありそうに見えますが、見ているのは自社の仕入れの側だけです。 メーカーから小売までの判断をそろえるには、企業をまたいで流れ全体を見る必要があります。

理解を深めるために

1社ずつの「念のため」が、全体の大量在庫になる

店頭で売れ行きが少し伸びると、小売は欠品を恐れて多めに発注します。それを見た卸はさらに多めに、 メーカーはもっと多めに生産します。一社一社は合理的に判断しているのに、上流に行くほど注文の振れ幅が 大きくなり、結果として流通のあちこちに在庫が積み上がります。鞭(むち)の先ほど大きく揺れる様子から、 この現象はブルウィップ効果と呼ばれます。

SCMは何を変えるのか

**SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)**は、原材料の調達から生産・物流・販売までを 一本の鎖(チェーン)とみなし、企業の枠を越えて全体を最適化する取組みです。

  • 小売の実際の販売データや各社の在庫量を共有する
  • メーカーや卸は、手前の会社の注文ではなく、店頭で実際に売れた量を見て生産・出荷を決める
  • 見込みの上乗せが減るので、過剰在庫と欠品の両方が抑えられる

ポイントは「部分最適の足し算は全体最適にならない」ことです。自社の仕入れや物流だけを効率化しても、 今回のような企業間の食い違いは解消しません。

混同しやすいものとの違い

名称 何を対象にするか
SCM 調達から販売までの流れ全体。取引先を含めて最適化する
EDI 企業間で取引データを送る手段。SCMを支える道具になる
物流情報システム 輸送・保管・配送などモノの移動の管理
購買管理システム 自社の仕入れ(発注・入荷・検収・支払)の管理

試験では「取引先を含めて」「流れ全体」「企業間で情報を共有」がSCMの手掛かりです。 情報を送る方法を問われていればEDI、自社の業務の一部を管理するものなら物流や購買のシステムと読み分けます。

前の問題へ次の問題へ