問題 20★★☆

A社で見つかった次の①〜③の事例のうち、内部統制でいう「不正」に当たるものをすべて挙げたものはどれか。 ① 経理担当者が入力を誤り、気づかないまま同じ請求に二重に支払っていた。 ② 営業部長が目標達成のため、翌期の売上と知りながら当期の売上として計上させた。 ③ 総務担当者が架空の経費を申請し、会社の資金を自分の口座に振り込ませた。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア③のみ

    誤り。②を不正から外しています。自分の懐に入れる③だけが不正だと考えがちですが、 業績をよく見せるために意図して数字を偽る②も不正(不正な財務報告、いわゆる粉飾)です。 個人が得をしたかではなく、欺く意図があったかで判断します。

  2. イ①と③

    誤り。①は会社から余分な資金が出ていく損害が生じていますが、入力の誤りに気づかなかった もので、意図がないため誤謬に当たります。損害が出たかどうかでは分けません。 また、意図して売上を前倒しした②が不正から漏れています。

  3. ウ①、②、③

    誤り。①〜③はどれも帳簿の数字を実際と違うものにしていますが、①は意図しない誤りなので誤謬です。 結果として数字が誤っているかどうかではなく、そこに欺く意図があったかどうかで 誤謬と不正を区別します。

  4. エ②と③

    正解。②は業績をよく見せるための意図的な虚偽の計上、③は会社の資産を自分のものにする 意図的な行為で、どちらも不正です。①は意図のない誤りなので誤謬に当たります。

理解を深めるために

分かれ目は「わざとかどうか」

同じように帳簿の数字が狂っていても、うっかりの入力ミスと、知っていて数字を 書き換えるのとでは、まったく性質が違います。前者が誤謬、後者が不正です。

  • 誤謬:意図せずに生じた誤り。入力ミス、計算の誤り、会計ルールの取り違え、記帳の漏れなど
  • 不正:他人を欺いて不当な利益を得ようとする意図的な行為

区別の軸は、損害の大きさでも、個人が得をしたかどうかでもなく、意図があったかどうかです。

不正には2つの型がある

監査の世界では、不正を大きく2つに分けて考えます。

  • 不正な財務報告(粉飾):売上の前倒し計上や費用の先送りなどで、業績を実際よりよく見せる。 個人の懐に入らなくても、会社の数字で投資家や取引先を欺くので不正です(事例②)
  • 資産の流用:架空の経費精算や商品の横領など、会社の資産を不当に自分のものにする(事例③)

「自分のお金にしていないから不正ではない」という思い込みが、この論点の典型的な落とし穴です。

混同しやすい判断の軸

判断の軸 誤謬と不正を分けられるか
欺く意図があったか 分けられる。これが区別の基準
会社に損害が出たか 分けられない。誤謬でも損害は出る(事例①)
個人が利益を得たか 分けられない。粉飾は個人が得をしなくても不正(事例②)
数字が実際と違うか 分けられない。誤謬も不正も数字は狂う

内部統制は、誤謬と不正のどちらも防ぐ対象にしています。ただし実務では、見つかった時点では 意図の有無が分からないことも多く、調査して事実を確かめてから判断します。

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