正解:ウ
各選択肢の解説
ア申請する人、承認する人、支払を処理する人を、それぞれ別の担当者に分ける。
誤り。これは職務分掌です。内部統制の柱の一つですが、どこで役割を分ければよいかは、 業務の流れが見えていないと決められません。手順が部署ごとにばらばらなまま分けても、 分ける場所を誤ったり、分担の抜けが残ったりするおそれがあります。
イ精算できる金額の上限や領収書の添付など、全社で守る精算の規程を定める。
誤り。これは実施ルールの設定です。規程は必要ですが、いまどんな手順で進んでいて、 どこに誤りや不正の余地があるのかを知らないまま決めると、実態に合わないルールや 肝心なところが抜けたルールになりがちです。
ウ申請から支払までの手順と担当者を部署ごとに調べ、業務の流れを図や文書にまとめる。
正解。業務プロセスの明確化です。流れと担当が見えて初めて、どこで誤りや不正が 起こり得るかを洗い出せ、分担・ルール・確認の仕組みをどこに置くかも決められます。
エ経理部門の責任者が精算の記録を定期的に抜き取って点検し、不備を指摘する。
誤り。これはチェック体制の確立にあたります。点検は決められた手順やルールに照らして 行うものなので、手順そのものが定まっていない段階では、何を不備とするかの物差しが ありません。構築の流れでは後のほうの段階です。
理解を深めるために
地図がないと、見張りも置けない
内部統制を整えるとき、最初にやるのは業務プロセスの明確化です。 申請から支払まで、誰が、どの順番で、何を見て処理しているのかを調べ、 業務フロー図や手順書として見える形にします。
防犯にたとえると、建物の見取り図を描く作業です。どこに出入口があり、 どこが死角になっているかが分からなければ、鍵をどこに付けるか、 警備員をどこに立たせるかも決められません。
構築の流れ
内部統制は、おおむね次の順で組み立てます。
- 業務プロセスの明確化 … 業務の流れと担当を見える形にする
- リスクの洗い出し … 流れのどこで誤りや不正が起こり得るかを探す
- 職務分掌・実施ルールの設定 … 担当を分け、判断の基準や手順を決める
- チェック体制の確立 … 決めたとおりに行われたかを確かめる仕組みを置く
C社は「手順が部署ごとに違い、全体を把握している人がいない」状態です。 この状態で分担やルールや点検から始めると、実態の分からないまま手を打つことになります。 だから、まず流れを明らかにするところから始めます。
混同しやすいものとの違い
| 取組 | 何をするか |
|---|---|
| 業務プロセスの明確化 | 業務の流れと担当を調べ、図や文書で見える形にする |
| 職務分掌 | 一連の業務を複数の担当者に分け、一人で完結しないようにする |
| 実施ルールの設定 | 業務をどの基準・手順で行うかを規程やマニュアルで定める |
| チェック体制の確立 | ルールどおりに行われたかを承認・照合・点検で確かめる |
どの取組も内部統制に欠かせませんが、試験では「いま何が分かっていないのか」が ヒントになります。流れが分からないなら明確化、基準がばらばらならルール、 決まりが守られたか確かめていないならチェック体制、と読み分けます。