問題 22★★★

C社は経費精算業務に内部統制を整えることにした。ところが、申請から支払までの手順は 部署ごとに異なり、誰がどの段階で何を確認しているのかを把握している人がいない。 最初に取り組むこととして、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア申請する人、承認する人、支払を処理する人を、それぞれ別の担当者に分ける。

    誤り。これは職務分掌です。内部統制の柱の一つですが、どこで役割を分ければよいかは、 業務の流れが見えていないと決められません。手順が部署ごとにばらばらなまま分けても、 分ける場所を誤ったり、分担の抜けが残ったりするおそれがあります。

  2. イ精算できる金額の上限や領収書の添付など、全社で守る精算の規程を定める。

    誤り。これは実施ルールの設定です。規程は必要ですが、いまどんな手順で進んでいて、 どこに誤りや不正の余地があるのかを知らないまま決めると、実態に合わないルールや 肝心なところが抜けたルールになりがちです。

  3. ウ申請から支払までの手順と担当者を部署ごとに調べ、業務の流れを図や文書にまとめる。

    正解。業務プロセスの明確化です。流れと担当が見えて初めて、どこで誤りや不正が 起こり得るかを洗い出せ、分担・ルール・確認の仕組みをどこに置くかも決められます。

  4. エ経理部門の責任者が精算の記録を定期的に抜き取って点検し、不備を指摘する。

    誤り。これはチェック体制の確立にあたります。点検は決められた手順やルールに照らして 行うものなので、手順そのものが定まっていない段階では、何を不備とするかの物差しが ありません。構築の流れでは後のほうの段階です。

理解を深めるために

地図がないと、見張りも置けない

内部統制を整えるとき、最初にやるのは業務プロセスの明確化です。 申請から支払まで、誰が、どの順番で、何を見て処理しているのかを調べ、 業務フロー図や手順書として見える形にします。

防犯にたとえると、建物の見取り図を描く作業です。どこに出入口があり、 どこが死角になっているかが分からなければ、鍵をどこに付けるか、 警備員をどこに立たせるかも決められません。

構築の流れ

内部統制は、おおむね次の順で組み立てます。

  1. 業務プロセスの明確化 … 業務の流れと担当を見える形にする
  2. リスクの洗い出し … 流れのどこで誤りや不正が起こり得るかを探す
  3. 職務分掌・実施ルールの設定 … 担当を分け、判断の基準や手順を決める
  4. チェック体制の確立 … 決めたとおりに行われたかを確かめる仕組みを置く

C社は「手順が部署ごとに違い、全体を把握している人がいない」状態です。 この状態で分担やルールや点検から始めると、実態の分からないまま手を打つことになります。 だから、まず流れを明らかにするところから始めます。

混同しやすいものとの違い

取組 何をするか
業務プロセスの明確化 業務の流れと担当を調べ、図や文書で見える形にする
職務分掌 一連の業務を複数の担当者に分け、一人で完結しないようにする
実施ルールの設定 業務をどの基準・手順で行うかを規程やマニュアルで定める
チェック体制の確立 ルールどおりに行われたかを承認・照合・点検で確かめる

どの取組も内部統制に欠かせませんが、試験では「いま何が分かっていないのか」が ヒントになります。流れが分からないなら明確化、基準がばらばらならルール、 決まりが守られたか確かめていないならチェック体制、と読み分けます。

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