正解:エ
各選択肢の解説
ア学習データに含まれる偏りが出力に表れ、特定の属性の人が不利に扱われること。
誤り。これは差別的表現やバイアスと呼ばれるAIのリスクです。倫理上の問題という 点は共通しますが、原因は学習データの偏りであり、データを見直せば改善を目指せ ます。どちらを選んでも誰かが害を受ける、という行き詰まりとは別です。
イAIが事実に基づかない内容をもっともらしく作り出し、利用者が信じてしまうこと。
誤り。これはハルシネーションの説明です。出力の正確さの問題なので、一次情報で 裏づけを取れば対処できます。トロッコ問題は、情報が正確であっても答えが 一つに定まらない場面を指します。
ウAIが判断に至った過程を人がたどれず、その結果の根拠を説明できないこと。
誤り。これは説明可能なAI(XAI)が取り組む、判断過程が見えないという問題です。 根拠を示せるようにすれば改善できます。トロッコ問題では、根拠を余さず説明 できたとしても、なお選んでよいのかという問いが残ります。
エどの行動を選んでも誰かが害を受ける場面で、何を優先するかを決めねばならないこと。
正解。暴走するトロッコの進路を切り替えれば助かる人と犠牲になる人が入れ替わる、 という思考実験です。どちらにも正解がないまま選択を迫られる点を示し、自動運転 などの設計で判断基準を事前に決める難しさを考える題材になります。
理解を深めるために
正解のない選択を迫られる思考実験
制御を失ったトロッコが、このままでは複数の作業員に向かって進む。手元の分岐器を 切り替えれば進路は変わるが、その先にも別の作業員がいる。切り替えるべきか、 何もしないべきか。これがトロッコ問題です。実際に起きた出来事ではなく、 人が何を基準に選ぶのかを考えるための思考実験です。
なぜAIの話に出てくるのか
人であれば、そのとき反射的に動いて終わりです。ところが自動運転車のように 機械が判断する場合、「どう動くか」をあらかじめ設計として決めておく必要が あります。誰が犠牲になるかの基準を、事故が起きる前に文章にして書くことに なるわけです。
- 決めなければ製品にできないが、決めた基準は誰かを選別する
- 文化や法制度によって、受け入れられる答えが異なる
- 設計者・製造者・利用者のうち、誰が責任を負うのかも定まりにくい
混同しやすい論点との違い
| 論点 | 何が問題か |
|---|---|
| トロッコ問題 | どれを選んでも害が出る。優先順位を事前に決める難しさ |
| 差別的表現(バイアス) | 学習データの偏りが出力に表れ、公平性を損なう |
| ハルシネーション | 事実に基づかない内容を作り出す。出力の正確さの問題 |
| 説明可能なAI(XAI) | 判断の根拠を人に見える形で示せるようにする取組み |
他の3つは技術や運用で改善を目指せる問題です。トロッコ問題だけは、技術が完璧に なっても残る、価値判断そのものの問題として問われます。