正解:イ
各選択肢の解説
ア決算日の時点で企業が保有している、現金及び預金の残高である。
誤り。これは流動資産の中の一項目にすぎません。純資産が大きくても 手元の現金が少ないことはよくあり、逆もあります。純資産の部は右側、 現金預金は左側と、貸借対照表の反対側にある点でも別物です。
イ資産の総額から負債の総額を差し引いた、返済義務のない部分である。
正解。株主からの出資と、過去に稼いで社内に残した利益が中心です。 誰かに返す必要のない元手なので、これが総資産に占める割合(自己資本比率)が 高いほど、財務が安定していると判断されます。
ウ一定期間に企業が稼ぎ出した、売上高と営業外収益の合計額である。
誤り。一定期間の収益を集計するのは損益計算書の役割です。貸借対照表は 決算日という一時点の残高を示す表なので、期間の稼ぎそのものは載りません。 稼いだ利益のうち社内に残した分が、純資産に積み上がっていきます。
エ1年を超えて返済期限が到来する、長期借入金や社債の合計額である。
誤り。これは固定負債の説明です。純資産と同じく右側にあり、長期にわたって 使える資金という点は似ていますが、固定負債はいずれ返す必要があります。 返済義務があるかどうかが、負債と純資産を分ける境目です。
理解を深めるために
「返さなくてよい元手」が純資産
貸借対照表の右側は、事業に使っている資金をどこから調達したかを示します。 そのうち、いずれ返す約束があるものが負債、返す必要がないものが純資産です。
資産と負債が先に決まり、その差額として純資産が残ります。
資産 − 負債 = 純資産
借金をして資産を買っても、資産と負債が同額増えるだけで純資産は変わりません。 純資産が増えるのは、株主が追加で出資したときと、事業で利益を上げたときです。
純資産に入るもの
- 資本金 — 株主が出資した元手
- 利益剰余金 — 過去の利益のうち、配当せずに社内に残した分
- 当期に得た利益も、配当と処分を経て利益剰余金に積み上がる
赤字が続いて純資産がマイナスになった状態を債務超過といい、 資産をすべて売っても負債を返しきれないことを意味します。
右側の二段を見分ける
| 区分 | 返済義務 | 代表例 |
|---|---|---|
| 流動負債 | あり(1年以内) | 買掛金、短期借入金 |
| 固定負債 | あり(1年超) | 長期借入金、社債 |
| 純資産 | なし | 資本金、利益剰余金 |
試験では「返済義務があるか」「一時点か一定期間か」の二点で判断できます。 純資産の大きさそのものより、総資産に対する割合で安全性を見る点も押さえておきましょう。