正解:ウ
各選択肢の解説
ア1年以内に現金化される見込みの、売掛金や商品などの資産である。
誤り。これは流動資産です。短期間で現金に戻る見込みがある点が特徴で、 売ればお金になるという実体を伴います。繰延資産は売って換金できる ものではなく、すでに使ってしまった支出が形を変えたものです。
イ建物や機械のように、長期にわたって事業に使用する形のある資産である。
誤り。これは有形固定資産です。費用を数年に配分する点(減価償却)は 繰延資産と似ていますが、こちらは現に手元にある物です。処分すれば 売却代金が得られるかどうかが、繰延資産との大きな違いです。
ウすでに支出が済み、効果が将来に及ぶため数年に分けて費用にする資産である。
正解。会社の設立や開業のための支出などが例です。支払は終わっていて 換金価値もありませんが、効果が何年かにわたって及ぶと考えられるため、 いったん資産に計上し、期間を区切って費用に振り替えていきます。
エ特許権のように形はないが、長期にわたって事業に使用する権利である。
誤り。これは無形固定資産です。形がなく費用を配分していく点で繰延資産と 紛らわしいのですが、特許権やソフトウェアは他社へ譲渡できる財産価値を もちます。換金できるかどうかが見分けどころです。
理解を深めるために
「払い終わった支出」を資産の側に置く
会社を設立するときの登記費用や、開業準備にかかった費用は、 支払った年だけの効果ではなく、その後何年かの事業を支えます。 それを支払った期の費用として一度に落とすと、初年度だけ大赤字に見えてしまいます。
そこで、支出の効果が将来にも及ぶものに限り、いったん資産として計上し、 決められた年数で少しずつ費用にしていきます。これが繰延資産です。 資産の部に並びますが、売ってお金に換えられる財産ではない点が独特です。
三つの区分の並び
貸借対照表の資産の部は、次の順に並びます。
- 流動資産 — 1年以内に現金化される見込みのもの
- 固定資産 — 長く事業に使うもの(有形・無形・投資その他)
- 繰延資産 — 支出済みで、効果が将来に及ぶために繰り延べたもの
似て見えるものとの違い
| 区分 | 実体 | 売って換金できるか |
|---|---|---|
| 流動資産 | あり | できる |
| 有形固定資産 | あり(物) | できる |
| 無形固定資産 | なし(権利) | できる |
| 繰延資産 | なし(過去の支出) | できない |
費用を数年に分けるという点では減価償却と似た発想ですが、対象が 「手元にある物」ではなく「済んでしまった支出」である、という一点で区別できます。 試験では、資産の部が三つに分かれることと、繰延資産の性質が問われます。