問題 20★★★

貸借対照表の資産の部には、流動資産・固定資産と並んで繰延資産が置かれることがある。 繰延資産の説明として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア1年以内に現金化される見込みの、売掛金や商品などの資産である。

    誤り。これは流動資産です。短期間で現金に戻る見込みがある点が特徴で、 売ればお金になるという実体を伴います。繰延資産は売って換金できる ものではなく、すでに使ってしまった支出が形を変えたものです。

  2. イ建物や機械のように、長期にわたって事業に使用する形のある資産である。

    誤り。これは有形固定資産です。費用を数年に配分する点(減価償却)は 繰延資産と似ていますが、こちらは現に手元にある物です。処分すれば 売却代金が得られるかどうかが、繰延資産との大きな違いです。

  3. ウすでに支出が済み、効果が将来に及ぶため数年に分けて費用にする資産である。

    正解。会社の設立や開業のための支出などが例です。支払は終わっていて 換金価値もありませんが、効果が何年かにわたって及ぶと考えられるため、 いったん資産に計上し、期間を区切って費用に振り替えていきます。

  4. エ特許権のように形はないが、長期にわたって事業に使用する権利である。

    誤り。これは無形固定資産です。形がなく費用を配分していく点で繰延資産と 紛らわしいのですが、特許権やソフトウェアは他社へ譲渡できる財産価値を もちます。換金できるかどうかが見分けどころです。

理解を深めるために

「払い終わった支出」を資産の側に置く

会社を設立するときの登記費用や、開業準備にかかった費用は、 支払った年だけの効果ではなく、その後何年かの事業を支えます。 それを支払った期の費用として一度に落とすと、初年度だけ大赤字に見えてしまいます。

そこで、支出の効果が将来にも及ぶものに限り、いったん資産として計上し、 決められた年数で少しずつ費用にしていきます。これが繰延資産です。 資産の部に並びますが、売ってお金に換えられる財産ではない点が独特です。

三つの区分の並び

貸借対照表の資産の部は、次の順に並びます。

  • 流動資産 — 1年以内に現金化される見込みのもの
  • 固定資産 — 長く事業に使うもの(有形・無形・投資その他)
  • 繰延資産 — 支出済みで、効果が将来に及ぶために繰り延べたもの

似て見えるものとの違い

区分 実体 売って換金できるか
流動資産 あり できる
有形固定資産 あり(物) できる
無形固定資産 なし(権利) できる
繰延資産 なし(過去の支出) できない

費用を数年に分けるという点では減価償却と似た発想ですが、対象が 「手元にある物」ではなく「済んでしまった支出」である、という一点で区別できます。 試験では、資産の部が三つに分かれることと、繰延資産の性質が問われます。

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