問題 25★★☆

E社は、株主が出した資金と銀行からの借入金の両方を使って、設備や在庫をそろえている。 資金の調達方法にかかわらず、保有する資産全体をどれだけ効率よく使って利益を上げたかを 表す財務指標はどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア売上高利益率

    誤り。売上高に対する利益の割合で、1回の商売でどれだけ厚く儲けたかを表します。 利益の厚みは分かりますが、その利益を生むのにどれだけの資産を使ったかは 現れないため、資産の使い方の効率は測れません。

  2. イ自己資本比率

    誤り。総資本のうち返済義務のない自己資本が占める割合で、財務の安全性を見る 指標です。計算に利益が入らないので、稼ぐ力そのものは表しません。 借入れが多いか少ないかを見るための指標です。

  3. ウ総資産利益率

    正解。総資産利益率(ROA)は利益を総資産で割った値で、自己資本と他人資本を区別せず、 集めた資金で手に入れた資産全体が生んだ成果を測ります。 同じ利益なら、少ない資産で達成した会社ほど高くなります。

  4. エ資本回転率

    誤り。投じた資本が1年間に何回分の売上高を生んだかを表す指標です。 資産の活用度は分かりますが、分子が利益ではなく売上高なので、 売れても儲かっていない状態を見抜けません。

理解を深めるために

ROAは「元手をどれだけ上手に使ったか」

会社は、株主から集めた資金(自己資本)と、銀行などから借りた資金(他人資本)を 合わせて、設備や在庫といった資産に変えています。 その資産がどれだけ利益を生んだかを見るのが**総資産利益率(ROA)**です。

ROA = 利益 ÷ 総資産

同じ1億円の利益を上げていても、20億円の資産を使った会社のROAは5%、 10億円で済ませた会社は10%です。後者のほうが元手を上手に使っています。

ROAは2つの力に分解できる

ROAは、次のように売上高を間に挟むと2つの指標の掛け算になります。

利益 ÷ 総資産 =(利益 ÷ 売上高)×(売上高 ÷ 総資産)
              = 売上高利益率 × 資本回転率

つまりROAを上げる道は2通りあります。利益率を厚くする(高付加価値化)か、 回転率を上げる(同じ資産でより多く売る)かです。 高級品を少量売る商売と、薄利で大量に回す商売が、どちらもROAでは比較できます。

似た指標との使い分け

指標 何を測るか
総資産利益率(ROA) 資産全体が生んだ利益の効率
売上高利益率 売上に対する利益の厚み
資本回転率 資本が何回分の売上に変わったか
自己資本比率 総資本に占める返済不要な資金の割合(安全性)

分母が何かを見れば区別できます。総資産ならROA、自己資本なら自己資本利益率(ROE)、 売上高なら売上高利益率です。借入れを増やして事業を大きくするとROEは上がりやすい 一方、ROAは資産が増える分だけ上がりにくくなります。

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