問題 26★★☆

F社は、新しい取引先の与信を判断するにあたり、その会社が1年以内に支払う義務に対して、 1年以内に現金化できる資産をどれだけ持っているかを確かめたい。 この目的に合う財務指標はどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア流動比率

    正解。流動資産を流動負債で割った値で、短期の支払能力を表します。 100%を下回ると、1年以内に返す債務を1年以内に現金化できる資産でまかなえず、 資金繰りに無理が出ている可能性を示します。

  2. イ自己資本比率

    誤り。総資本のうち返済義務のない自己資本の割合で、同じ安全性でも資本構成を 見る長期の指標です。自己資本が厚くても資産が在庫や土地に偏っていれば、 目先の支払いには困り得ます。期限の近さを見ていない点が違います。

  3. ウ自己資本利益率(ROE)

    誤り。株主が出した自己資本に対してどれだけ利益を上げたかを表す収益性の指標です。 名前に「自己資本」が付くため安全性の指標と混同されますが、 分子が利益なので、支払いに充てられる資産の有無とは無関係です。

  4. エ投資利益率(ROI)

    誤り。ある投資に投じた額に対して得られた利益の割合で、システム導入などの 案件ごとの採算を判断するときに使います。見る対象が会社全体の財政状態ではなく 個別の投資である点が、与信判断の目的と合いません。

理解を深めるために

流動比率は「1年以内の支払いに耐えられるか」

貸借対照表は、1年以内に現金になる流動資産(現金預金、売掛金、商品など)と、 1年を超えて使う固定資産に分かれています。負債も同じように、 1年以内に支払う流動負債(買掛金、短期借入金など)と固定負債に分かれます。

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)

100%なら、当面の支払いと当面入ってくる資金がちょうど釣り合っている状態です。 これを下回ると、固定資産を売るか新たに借りるかしないと支払いが回りません。 取引先の与信では、まずここを見ます。

安全性の指標は「短期」と「長期」で役割が違う

指標 見ているもの
流動比率 1年以内の支払能力(短期)
自己資本比率 返済不要な資金の厚み(長期)
自己資本利益率(ROE) 自己資本が生んだ利益(収益性)
投資利益率(ROI) 個別の投資案件の採算

自己資本比率が高い会社でも、資産が売れ残りの在庫や工場に偏っていれば、 来月の支払いには困ります。逆に借入れが多くても現金が潤沢なら、 当座はしのげます。期限の近さを見るのが流動比率だと押さえてください。

混同しやすい点

「自己資本比率」と「自己資本利益率(ROE)」は名前が似ていますが、 前者は資本の構成割合、後者は利益率で、そもそも測っているものが違います。 分子が利益かどうかで見分けると確実です。

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