問題 37★★★

D社の今期の損益計算書では、売上高が前期より20%増えて6億円になった一方、 営業利益は前期と同額の3,000万円だった。貸借対照表の数値は与えられていない。 この情報だけから確実に言えるものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア売上高利益率は前期より低下した。

    正解。売上高利益率は営業利益を売上高で割った値です。前期は3,000万円÷5億円で6%、 今期は3,000万円÷6億円で5%となり、利益の額が同じまま売上高だけが増えたので 必ず下がります。損益計算書の数値だけで計算できる点がこの指標の特徴です。

  2. イ資本回転率は前期より上昇した。

    誤り。資本回転率は売上高を総資本で割った値です。売上高が増えても、 設備や在庫を増やして総資本がそれ以上に膨らんでいれば下がります。 分母の総資本は貸借対照表の数値なので、この情報だけでは上下を判断できません。

  3. ウ総資産利益率(ROA)は前期より上昇した。

    誤り。ROAは利益を総資産で割った値です。分子の営業利益は前期と同額ですが、 分母の総資産が増えたか減ったかは示されていません。 総資産が増えていればROAはむしろ低下します。

  4. エ自己資本比率は前期より低下した。

    誤り。自己資本比率は自己資本を総資本で割った値で、どちらも貸借対照表の数値です。 利益が出ていれば自己資本はむしろ増える方向に働きます。 売上高や利益の増減だけからは、資本の構成がどう動いたかは分かりません。

理解を深めるために

売上高利益率は「100円売って何円残るか」

売上高利益率は、売上高に対して利益がどれだけの割合を占めるかを表します。

売上高利益率 = 利益 ÷ 売上高

100円のものを売って5円残るなら5%です。値引きして数を売れば売上高は伸びますが、 残る利益が同じなら「1回の商売の厚み」は薄くなっている、ということを示します。 D社は売上高が5億円から6億円に伸びたのに利益は3,000万円のままなので、 6%から5%へ薄くなりました。

どの表の数値で計算できるかで指標を分ける

財務指標は、計算に必要な数値がどの表から来るかで性格が変わります。

  • 損益計算書だけで計算できる……売上高利益率(売上高と利益の関係)
  • 貸借対照表の数値が要る……資本回転率、総資産利益率(ROA)、自己資本比率

今回の問題文には貸借対照表の数値がありません。ですから、分母に総資本や総資産が 入る指標は、増えたとも減ったとも言えないのです。 「売れたのだから効率は上がったはずだ」と考えてしまうのが典型的な誤りで、 在庫や設備を増やして売上を伸ばした場合は逆の結果になります。

指標ごとに何が分母か

指標 計算式 必要な表
売上高利益率 利益 ÷ 売上高 損益計算書
資本回転率 売上高 ÷ 総資本 両方
総資産利益率(ROA) 利益 ÷ 総資産 両方
自己資本比率 自己資本 ÷ 総資本 貸借対照表

試験では「増収なのに利益が伸びない」という場面がよく出ます。 そのとき動きが確実に言えるのは、売上高と利益だけで決まる売上高利益率です。

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