問題 40★★☆

同業のL社とM社は、売上高も利益もほぼ同じである。ただしL社は事業資金の大半を 銀行借入れで賄い、M社は株主の出資と過去の利益の蓄積で賄っている。 この資本の構成の違いが表れ、返済義務のない資金の割合を示す指標はどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア流動比率

    誤り。流動資産を流動負債で割った値で、1年以内に返す負債を1年以内に現金化できる 資産で払えるかを見ます。同じ安全性でも見ているのは目先の資金繰りであり、 資金をどう集めたかという構成は表しません。

  2. イ自己資本利益率(ROE)

    誤り。利益を自己資本で割った値で、株主が出した資金がどれだけ利益を生んだかを 表します。分母は自己資本で同じですが、分子が利益なので測っているのは収益性です。 借入れを増やして事業を広げると、むしろ高くなることがあります。

  3. ウ自己資本比率

    正解。総資本に占める自己資本の割合で、返済義務のない資金でどれだけ事業を 支えているかを表します。M社のように自己資本の割合が高いほど、 返済や利息の負担が軽く、業績が落ち込んだときに持ちこたえやすくなります。

  4. エ資本回転率

    誤り。売上高を総資本で割った値で、集めた資本をどれだけ活発に売上高へ変えたかを 回数で表します。資本の使い方の効率を見る指標なので、 その資本が借入れか出資かという違いは計算に入りません。

理解を深めるために

自己資本比率は「返さなくてよいお金の割合」

会社が使っているお金は、返す必要のある他人資本(借入金や買掛金)と、 返す必要のない自己資本(株主の出資と過去の利益の蓄積)に分かれます。 その合計に占める自己資本の割合が自己資本比率です。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本(=総資産)

総資本1億円のうち自己資本が4,000万円なら40%です。 残る6,000万円は期限が来れば返さなければならず、利息も払い続けます。 同じ利益を上げていても、返済の重さが違えば会社の耐久力は変わります。

短期の支払能力とは物差しが違う

安全性を見る指標には、期間の違う2つの見方があります。

  • 短期……流動比率。1年以内に返す負債を1年以内の資産で払えるか
  • 長期……自己資本比率。そもそも返さなくてよいお金がどれだけあるか

流動比率が高くても、借入れに依存していれば長期的には不安定です。 逆に自己資本比率が高くても、手元の現金が不足すれば当座の支払いには困ります。 2つは補い合う関係にあります。

似た指標との使い分け

指標 計算式 何を測るか
自己資本比率 自己資本 ÷ 総資本 資本構成の安全性
流動比率 流動資産 ÷ 流動負債 短期の支払能力
自己資本利益率(ROE) 利益 ÷ 自己資本 株主資金の収益性
資本回転率 売上高 ÷ 総資本 資本を使う効率

分子に利益が入れば収益性、入らなければ安全性や効率の指標だと切り分けられます。 なお借入れを増やすとROEは上がりやすい一方、自己資本比率は下がります。 高ければよい指標ばかりではない点が、財務指標を読むときの勘所です。

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