問題 41★★☆

ある上場企業への投資を検討している人が、1事業年度の経営成績や財政状態に加え、 事業の内容やリスク情報までを、監査を受けた確定値で確認したいと考えた。 金融商品取引法に基づいて提出が義務づけられた書類はどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア決算短信

    誤り。証券取引所の適時開示規則に基づく決算の速報で、決算期末後45日以内が 適当とされます。投資家に早く届けることが目的なので監査の完了を待たず、 後から確定した数値と食い違うことがあります。

  2. イ統合報告書

    誤り。法令で義務づけられたものではなく、企業が任意に作るIR資料です。 財務情報と、環境や人材といった非財務情報を合わせて示し、 中長期の価値創造を説明します。様式も内容も企業に委ねられています。

  3. ウ会社法に基づく計算書類

    誤り。株主と債権者に向けて会社法が作成を求める書類で、 貸借対照表や損益計算書などから成り、株主総会に提出されます。 投資家一般に広く公開することを目的とする金融商品取引法の開示とは制度が違います。

  4. エ有価証券報告書

    正解。金融商品取引法に基づく法定開示で、事業年度終了後3か月以内に 提出が義務づけられています。財務諸表は公認会計士または監査法人の監査証明を受け、 事業の状況やリスク情報も含めてEDINETで誰でも閲覧できます。

理解を深めるために

有価証券報告書は「確定版の会社案内」

上場企業は、1年間の成績を投資家に向けて公表しなければなりません。 その本体にあたるのが有価証券報告書です。金融商品取引法が提出を義務づけており、 事業年度終了後3か月以内に提出し、EDINET(金融庁の電子開示システム)で 誰でも無料で読めます。

載っているのは数字だけではありません。

  • 事業の内容、従業員数や平均年間給与などの企業の概況
  • 経営方針、経営環境および対処すべき課題
  • 事業等のリスク
  • 監査証明を受けた財務諸表

公認会計士または監査法人の監査を経た確定値であることが、 他の資料との最大の違いです。

速報と確定版は役割が違う

決算が固まると、まず決算短信が公表されます。こちらは証券取引所の 適時開示規則に基づくもので、法律ではなく取引所のルールが根拠です。 決算期末後45日以内が適当とされ、速さを優先するため監査の完了を待ちません。 数か月後に監査を終えた有価証券報告書が出る、という二段構えになっています。

開示書類の比較

書類 根拠 主な読み手
有価証券報告書 金融商品取引法(法定開示) 投資家一般
決算短信 証券取引所の規則(適時開示) 投資家一般(速報)
計算書類 会社法 株主・債権者
統合報告書 任意 投資家・取引先など

試験では「根拠となる法令はどれか」「速報はどちらか」「監査を受けているのはどれか」 という形で問われます。法定開示・監査済み・詳細とくれば有価証券報告書、 取引所のルール・速報とくれば決算短信と覚えておくとよいでしょう。

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