正解:エ
各選択肢の解説
ア店舗の賃借料や水道光熱費などの固定費が、前期より増えたから。
誤り。これらは販売費及び一般管理費であり、粗利益を計算した後に 差し引かれる費用です。増えれば営業利益は減りますが、売上高から 売上原価を引いて求める粗利益の段階には影響しません。
イ来店を促すために、広告宣伝費を前期より大幅に多く使ったから。
誤り。広告宣伝費も販売費及び一般管理費です。粗利益より下の段で 差し引かれるため、いくら使っても粗利益は変わりません。 どの費用がどの利益の前で引かれるかを、損益計算書の順序で確かめてください。
ウ商品の仕入代金の支払が、売上代金の入金よりも先に発生したから。
誤り。これは手元資金が不足する原因であって、利益が減る原因ではありません。 利益は売上と費用が発生した時点で計算され、現金の出入りの時期とは 切り離されています。資金の動きはキャッシュフロー計算書で追います。
エ値引きで1個当たりの粗利益が薄くなり、販売量の増加で補えなかったから。
正解。仕入単価が同じまま売価を下げると、1個当たりの粗利益が減ります。 売上高は販売量の増加で伸びても、薄くなった分を補うほど数が増えなければ、 粗利益の合計は前期を下回ります。
理解を深めるために
売上高が増えても儲けが増えるとは限らない
粗利益は「1個当たりの粗利益 × 販売量」で決まります。 値引きは、このかけ算の左側を細くしながら右側を太らせる行為です。 右側の伸びが左側の減りに負ければ、かけ算の答えは小さくなります。
たとえば仕入100円の商品を150円で売っていた店が、売価を120円に下げたとします。 1個当たりの粗利益は50円から20円へ、6割減です。 販売量が2倍になっても、粗利益の合計は増えません。
「増収減益」はここで起きている
売上高が増えたのに利益が減る状態を増収減益といいます。原因は段階ごとに違います。
| 減った利益 | 主な原因 |
|---|---|
| 粗利益が減った | 値引きや仕入単価の上昇で、売上高に占める原価の割合が上がった |
| 営業利益だけが減った | 広告宣伝費や人件費など、販売費及び一般管理費が増えた |
| 利益は出ているが資金が足りない | 入金より支払が先に来ている(利益と現金は別物) |
試験での読み分け
問題文に出てくる費用が、売上原価なのか販売費及び一般管理費なのかを先に見分けます。 粗利益に効くのは売上原価だけで、家賃も広告費も粗利益より下で引かれます。
そして「売上高が増えた」という記述に引きずられないこと。 見るべきは金額の合計ではなく、1個当たりでいくら残っているかです。