正解:ア
各選択肢の解説
ア固定費の総額は変わらないので、1個当たりに割り当てられる固定費が減り、原価は下がる。
正解。賃借料は生産量が2倍になっても総額は同じですが、それを2倍の個数で 分け合うため、1個当たりの負担は半分になります。1個当たりの変動費は 変わらないので、その分だけ1個当たりの原価が下がります。
イ生産量に応じて固定費の総額も2倍になるので、1個当たりの原価は変わらない。
誤り。生産量に比例して総額が増えるのは変動費です。賃借料のように、 生産量にかかわらず総額が一定の費用を固定費と呼びます。 総額が動くかどうかが、固定費と変動費を分ける目印です。
ウ1個当たりの変動費が生産量に応じて増えるので、原価は上がる。
誤り。変動費は総額が生産量に比例して増えますが、1個当たりでは 材料費のように一定額です。総額の話と1個当たりの話を取り違えると、 固定費と変動費の振る舞いが逆に見えてしまいます。
エ固定費も変動費も1個当たりでは一定なので、原価は生産量によって変わらない。
誤り。1個当たりで一定なのは変動費だけです。固定費は総額が一定なので、 個数で割ると1個当たりは生産量が増えるほど小さくなります。 どちらが「総額一定」でどちらが「1個当たり一定」かが要点です。
理解を深めるために
家賃は人数で割り勘する
月10万円の部屋を借りて、そこで作業するとします。 1人で使えば1人当たり10万円ですが、2人で使えば1人5万円、 10人なら1万円です。部屋代そのものは一切変わっていません。
工場の賃借料も同じで、たくさん作るほど1個が背負う金額が小さくなります。 一方、製品1個に使う材料費は、何個作ろうと1個分は同じ金額です。
総額で見るか、1個当たりで見るか
同じ費用でも、見る単位を変えると振る舞いが逆になります。ここが混乱の元です。
| 費用 | 総額 | 1個当たり |
|---|---|---|
| 固定費(賃借料など) | 生産量が変わっても一定 | 生産量が増えると減る |
| 変動費(材料費など) | 生産量に比例して増える | 生産量が変わっても一定 |
「固定費は一定」という言い方は、あくまで総額の話です。 1個当たりで見ると、固定費こそが生産量によって動く費用になります。
なぜこれが経営の判断に効くのか
生産量を増やすと1個当たりの原価が下がるため、同じ売価なら1個当たりの利益が 厚くなります。大量に作れる企業ほど価格を下げても採算が合うのは、この仕組みです。
逆に、注文が減って生産量が落ちると、1個当たりの固定費が重くなって原価が上がります。 設備や店舗を多く抱える事業ほど、この振れが大きくなる点も押さえておいてください。