正解:イ
各選択肢の解説
ア宣言が包括的なドキュメントより動くソフトウェアを重んじる以上、操作手順書も含めて文書は一切作らない。
誤り。宣言を「ドキュメントは不要」と読む典型的な誤解です。宣言は「左記のことがらに 価値があることを認めながらも、右記のことがらにより価値をおく」と明記しています。 重みの付け方の話であって、ドキュメントを捨てよという意味ではありません。
イ動くソフトウェアを届けることを優先し、利用者や保守の担当者が本当に必要とする文書に絞って作る。
正解。「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」という価値に対応します。 動くものを優先しつつ、文書の価値も認めて目的のはっきりしたものだけを残す という、宣言どおりの重み付けになっています。
ウ途中で手戻りが起きないよう、全機能の詳細な仕様書を先に書き上げ、関係部署の承認を得てから作り始める。
誤り。これは「計画に従うこと」「包括的なドキュメント」を最優先する進め方です。 文書を一切作らない対応の逆に見えますが、宣言が重んじる「変化への対応」を 最初から封じてしまいます。要求は作りながら変わる、というのがアジャイルの前提です。
エどの文書を残すかは開発チームの専門領域なので、経理部門には相談せずにチーム内だけで決める。
誤り。宣言は「契約交渉よりも顧客との協調を」を掲げています。経費精算の利用者である 経理部門が何を必要とするかは、チームだけでは分かりません。要否を決める場面こそ、 相手と一緒に考えるべきところです。
理解を深めるために
「どちらを重く見るか」を書いた宣言
アジャイルソフトウェア開発宣言(2001年)は、4つの価値を「AよりもBを」という形で 並べています。旅行にたとえると「予定表どおりに回るより、現地で見つけた面白い店に 寄るほうを大事にする」という宣言です。予定表を破り捨てるとは言っていません。
4つの価値と、見落とされやすい一文
| それよりは軽く見るもの(左記) | 重んじるもの(右記) |
|---|---|
| プロセスやツール | 個人と対話 |
| 包括的なドキュメント | 動くソフトウェア |
| 契約交渉 | 顧客との協調 |
| 計画に従うこと | 変化への対応 |
宣言はこの後に「左記のことがらに価値があることを認めながらも、私たちは右記の ことがらにより価値をおく」と続けます。軽く見るとした側にも価値があると明言している のが要点です。日本語版は「AよりもBを」の順で並ぶので、重んじるほうが右にきます。
選択肢の対応を並べると
| 対応 | 宣言との関係 |
|---|---|
| 動くものを優先し、必要な文書に絞って作る | 重んじる側を選びつつ文書の価値も認める(宣言どおり) |
| 文書を一切作らない | 文書を「不要」と読む誤解 |
| 詳細な仕様書を書き上げてから作る | 文書と計画を最優先している |
| 利用者に相談せず文書の要否を決める | 顧客との協調を欠いている |
試験では「アジャイルだから文書や計画は要らない」という極端な選択肢が置かれやすいです。 宣言は二者択一ではなく重み付けだ、と押さえておけば見分けられます。